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「兎に角、さ。俺ら恋人ってことでいい、んだよな?」
おずおずとたった今僕らに付け加わった関係性を確認する涼介が、なんだか少し可愛く見えて。
この人の隣で胸を張って_僕が堂々と胸を張れるかは別として_恋人を名乗ることができることが、ものすごく誇らしくて、幸せで。
「そうだよ。僕は涼介の恋人だし、涼介は僕の恋人」
我ながらかなり恥ずかしいことを言ってしまったと後悔した。でも、これを受け止めて優しく微笑う涼介があまりにも綺麗で、僕を包み込んだその体温があまりにも温かくて、そんな後悔すらどうでも良くなってしまう。
「帰ろ、か」
体感1時間。事実数秒。
もう少しそうしていたかったけど、不意に此処が近所のコンビニであったことに気付いて体を離した。
改めて見つめた涼介の顔はどこかもの寂しそう。きっと僕も似たような顔をしているんだろうな、とぼんやり思った。
帰り道、涼介の隣で舐めたイチゴ味のキャンディは、今までにないくらい甘く感じて、けれどそれは甘いのが苦手な僕でもすんなり受け入れられる心地好い甘さだった。
僕の家に近づいてきたところで、どちらからともなく繋がれた手。そこから、さっき抱き締められた時の体温が甦って顔に熱が戻る。
「見られたらどうすんの」
「いいじゃん別に。侑李は俺の、って知らしめなきゃ」
そんなの、狡い。
普段下の名前でなんて呼ばない癖に。こっちが恥ずかしくなるくらい気障な台詞と共にへらりと笑う。それが、なんと言うかとてもきらきら煌めいていて、僕の口の中で溶けてきたキャンディがまた甘みを増した。
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1日遅れのホワイトデー話。
これ載せたいがためにこの短編集作った節、あります。それくらい書きたかった。チロルあげたら飴ちゃん返ってきたcnちゃんのお話。
飴ちゃんの意味は知らなければぜひ調べて見てください。
以上、後書きでした。
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作者名:不定期更新 | 作成日時:2019年3月15日 8時