噛み付くようなキスをして３ seven (ページ4)

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93.要求と、思惑とページ4

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｢あのっ、わたし、甘味Aって言いますっ。人間の世界から来ましたっ。帰るのにあなたの協力が必要なのでお願いにあがりましたっ。｣

彼が何処にいるのかわからないけど、なんとなく階段の上方に向かい、声を張る。

裕翔｢…A、そんなでかい声出さなくても通じてるよ。｣

隣の裕翔はわたしを諭したが、真剣だってことを伝えたくて｢お願いします！｣と大きな声で重ねた。

『あはは、活きのいい女のコは好きだよ～。』

また独特のトーンでのレスポンス。すると涼介が一歩前に出て口を開いた。

涼介｢伊野尾ちゃん！遊びじゃない、マジで頼みに来てんだよ。｣

真摯な眼差しは心強い。わたしは綺麗な横顔を眺めて頷いた。

少しの無音の後、再び声が届く。

『ふぅん、でもねぇ…こっちにだって事情はあるわけよ。』

プシューーーッ！！！

｢きゃあっ、何っ？！！｣

突如、音をたててモクモクとあがる白い煙。一気にわたし達三人を囲んだ。何も見えない。

裕翔｢Aっ、大丈夫っ？｣

｢えっ、なに、なんなのっ。｣

涼介｢A、逃げろっ。｣

逃げろって何処に？そう聞こうとしたけれど、声にならない。

けほっ、けほっ、

思わず白煙を吸い込んでしまう。これやばいと思った時には視界が霞み始めていて。

ぐらり、膝をついて倒れ込んだ。横を見ると、涼介も裕翔も同じように床に手をついていた。

一体どういうことなの…？

カツ、カツ、遠のく意識の中、足音が近づく。

『飛んで火に入るなんとやら、ってね。こんな上物、俺だって欲しいに決まってんでしょ。』

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