112.決死の守護 ページ24
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…カタ
｢い、いたた…。｣
大きな揺れがおさまったところでどうにか目を開けた。アチコチ痛いけどとりあえず生きてる。
｢けほっ、げほっ。｣
パラパラと頭上から小さな石と砂が降る。空中を舞う塵で視界が霞んでる。砕片だらけで視界はよどんだグレー。天井の一部が崩落し、壁と柱が倒れてきたらしい。
私はちょうど檻の格子と壁の隙間に逃げられたようで、瓦礫に挟まれつつも致命的な怪我はしていない。悪運強いわ。
｢せ、せまっ…。｣
視界は薄暗く、倒壊した部屋は瓦礫が散乱していて、周囲の様子がよくわからない。
なんとか体勢を変えようとモゾモゾしていたら、身体の上方から声がした。
涼介｢だいじょぶ？A…。｣
｢りょ、涼介っ？！｣
顬から血を垂らした涼介がそこにいた。髪は剥片にまみれ、柱の下に肩を捩じ込ませている。わたしの上の瓦礫が崩れないように自身の体で支えていた。
｢…涼介…ぇ。｣
そうだ、最後の大きな揺れの瞬間、涼介は檻を抜け出し、わたしの手を引っ張った。お陰で間一髪、命拾いしたんだ。
今の状況だって、たまたまスペースがあったのでは無い。涼介が空間を作ってくれていたのだ。
満身創痍なのに、この人はわたしを守ってくれたんだ。
ぐず、涙が込み上げてきた。瞬間、床のぬるりとした感触に気づく。
｢涼介っ！血がっ、｣
涼介｢へへっ、良かった。…元気そうだな。｣
笑ってるけど、息も絶え絶えでかなり苦しそう。しかもこの出血量。一刻も早く救出して、手当をしないと本当に死んでしまう。
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作者名：不眠症の羊
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/
作成日時：2020年11月28日 12時
