102.見せない本音 ページ13
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伊野尾「ねー、食わねーの?美味いよ。」
もぐ、イクラ鮭丼を頬張る九尾狐を前に警戒心しかないわたし。この人、さっきわたしに何したか覚えてるの?シマエナガが来なかったらホントにやばかったってのに。
「…地下のふたりはどうなってるの?」
涼介と裕翔は飲まず食わずで檻に入れられてる。安否が気になって落ち着かない。
伊野尾「さぁねぇ。奴らがキミを差し出す、って言えば解放してやってもいいんだけど。」
勿論キミが俺のものになるって約束するならすぐにでも、と付け足された。なるものか、と睨んで返すわたし。
檻の中の涼介達よりはマシだが、室内から出られないわたしは軟禁状態。
渋い顔のまま、水だけを口に含む。
それに、彼の言動には疑問だらけだ。遺恨がどうの、とか、バンバイア達が諍いの元凶だとか。誤解もありそうだし、涼介と裕翔を交えてちゃんと話をすべきだろう。
「…ねぇ、強い力が欲しいって言ってたけど、あなたはそれを手に入れて、何がしたいの?」
伊野尾「何って、そりゃ綺麗な女のコいっぱい集めてハーレム作って毎晩宴だろ。美姫と美酒を味わいたいわ。」
「は?ハーレム?なに言ってんの?」
伊野尾「いつの時代も男が欲するものは金と色と権力だろ。」
冗談?それとも本音を言いたくないだけ?マジでわかんない。
戯言を並べてるけど、そんな典型的なものを求めてるようには思えない。もっと他の目的があるのではと穿った見方をしてしまう。
伊野尾「あ、何人女の子が居ても、キミは特別に可愛がってあげるからねぇ。」
へらりと軽薄なセリフ。淡い笑みに苛立つ。
「…もういい、話にならない。」
簡単に口を割らないようだ。
今のタイミングでこれ以上探っても無駄だと判断。わたしはぷいと横を向き、会話を終了させた。
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作者名:不眠症の羊 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/
作成日時:2020年11月28日 12時