噛み付くようなキスをして３ seven (ページ11)

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100.誘引の唇ページ11

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｢きゃっ。｣

ドサッ、

後頭部がソファの座面につく。伊野尾さんの白い指先がわたしの顎を軽く押さえる。心情の読めない笑顔が怖い。

視線を逸らしたら負けてしまう気がして、ぐっと眼に力を入れ見開いた。

伊野尾｢人間の女の子なんて、めっちゃ久しぶりだよ。｣

至近距離で見ても美麗な顔。艶めいたその瞳の奥底には何を隠してるのだろう。

｢…無理矢理はしないんでしょ…。｣

伊野尾｢ふふ、どーかねぇ。｣

曖昧な返答に眉をひそめていたら、むにっ、唇が触れた。熱を帯びた湿度のあるリップ。

勝手に体温が低そうな男だと思っていたから、その熱さに少し驚いたけど、動じたくない。瞼をガッチリと開けたまま平常心を装う。

｢…どいて。｣

伊野尾｢どかないよ。どう？俺のキスは。九尾狐のキスには催淫効果があるのよ。キスすればするほどあーら不思議、気持ちよーくなっちゃうの。｣

｢催淫…？｣

嘘でしょ。そう思った時にはカラダが既に熱を帯びていて。

伊野尾｢キミがその気になるように、いっぱいしてあげるね。｣

｢…ん、ァッ。や、｣

覆い被さり、再びのキス。最初のライトなものとは違う。舌を使った大人のキスにすぐさまシフトした。腕を掴まれ、一方的に唇を貪られる。

舌を吸われて、歯列をなぞられ、彼の舌はわたしの口内を滑らかに這い回っている。

ぴちゃぴちゃと唾液の音。甘ったるい自分の吐息が耳障りでたまらない。

｢…ん、はぁ…。｣

嫌なのに、抗えず、力が抜けていく。涼介とも、裕翔とも違う、伊野尾さんの熟達したキス。

どうしようもなく身体が火照る。愛情なんて一ミリも無いのに。これも九尾狐の特殊能力なのか。

下半身がむずむずしだして、もどかしい。内腿を擦り合わせていると、間を伊野尾さんの膝がぐりっと割り入った。

｢や…ぁ…。｣

伊野尾｢ふふっ、反応いいね。｣

首筋に吸いつかれ、耳を舐められて顎を反らす。自分の身体の統制が崩壊しているのがわかる。

悔しい。好きでもなんでもないオトコにされるがままなんて。わたしは手のひらを握り、心まで支配されないように耐えるのみだ。

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