91.九尾狐の領地へ ページ2
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薮｢...九尾狐の地域はもうすぐそこだ。｣
光｢気をつけてな。｣
｢ありがとうございました。｣
わたし達は彼らの屋敷を出立した。光さん所有の｢猫又バス｣にて国境まで送って貰った。車内のシートはフカフカで何より可愛かった。
裕翔｢じゃ、行きますか。｣
ここはもう既に九尾狐の管轄エリアらしい。
彼の居住地までさほど遠くないとのことなので、あとは徒歩で向かうことにした。
…ガサ、パキッ、
｢わ、わ…おっと…。｣
木々の繁った林の中を進む。足場も悪く、アップダウンもあってか、方向感覚が無い。薄暗いし、ちょっと恐いな、と思っていたら、前を歩く涼介が振り向き、ずいっと手を差し出した。
涼介｢ん、あぶなっかしーから。｣
｢あ、ありがと。｣
怖気付くわたしの手を涼介が引いてくれる。口調はぶっきらぼうだけど、行動は紳士的でほっとする。
｢あれ、なんか明るくなってきた…？｣
暫く歩いたところで、少し開けた場所に出た。
裕翔｢見えてきたよ。あそこ。｣
｢え...？あんなとこに住んでるの？｣
裕翔が指さした方向には、どーん、と近代的な建築物。その曲線美はまるで美術館のよう。フォトジェニックというか、なんだかひとつのアートみたい。
涼介｢行くぞ。｣
純和風の屋敷に住んでいた涼介や宏太さん達とは随分と違った趣向だった。
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作者名：不眠症の羊
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/
作成日時：2020年11月28日 12時
