検索窓
今日:15 hit、昨日:17 hit、合計:86,044 hit

猫知りな彼 ページ13

.




眠くて眠くて立っているのがやっとで、からだのあちこちにボールが当たる。怒っている友達の声も聞こえるけど、そんなことよりわたしは眠い。


「A、危ない!!!」


なんて声は遅くて、わたしの顔面には物凄いスピードでバレーボールが飛び込んできた。
めっちゃ痛い…痛すぎる…打った人本気過ぎるだろ………。
でもそれよりやばい、顔面に直撃したから、涙がこぼれ落ちそう。顔を手で押さえる。というか目を手で押さえる。

どうしよう…このままじゃ歩くことすら出来ないし、ここで猫になるわけにもいかないし…。
顔を手で押さえたまま、動けなくなってしまった。



突然からだがふわっと浮き上がった。誰かに抱えられているんだ。
どこにいくんだ!という先生の声と、誰かが、ウォヌ!と叫ぶ声がする。
ああ、チョンくん。助けてくれたんだ。


たぶんチョンくんは人のいないところへ運んでくれているんだろう。

でもお姫様抱っこだよ…恥ずかしすぎて顔から火が出そう。熱い。


「おれだよ、大丈夫」


そうチョンくんの声がしたからわたしは素直に手を外した。出そうな涙と、お姫様抱っこされた恥ずかしさで赤い顔が恥ずかしい。見られたくないから、今だけは、猫になってよかったと思った。


「おいで」


チョンくんはわたしを抱っこして、水道のところへ連れてってくれた。そして冷たい水をかけられる。
戻ってくるからだの感覚。冷たい水をかけられたのに、なんだか火照った頰はおさまらなかった。
そして申し訳なさに押し潰されそうになった。


『ごめんね…チョンくん…』


「なんで謝るの」


『迷惑かけて…』


「そういうときはありがとうって言うんだってスニョンが言ってた」


チョンくんはわたしを励ましてくれているつもりなんだろう。声のトーンも表情も変わらないからわかりにくいけど、この人は優しい人なんだろうなあとおもった。


『たしかにそうだね、助けてくれてありがとう』


「自分でもびっくりした」


からだが勝手動いて、と言いながら、水道の淵に腰掛けたままのわたしの隣にそっとお尻を下ろした。


『チョンくん猫の扱いに慣れてるね』


「昔飼ってたから」


『そうなんだ。猫好きなの?』


「うん、わりとすき」


抱っこの仕方とか、触り方が猫を知ってる人のそれだった。


「でも猫は水が苦手な子が多いのにきみは平気なんだね」


『わたしは不可抗力だから』


「まあたしかにね」


戻ろっか、と言って立ち上がった。





.

お昼寝彼女→←ピンチヒーロー



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (149 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
590人がお気に入り
設定タグ:SEVENTEEN , ウォヌ , ジョシュア
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

副リーダー - ディノくんがリスは可愛い!!可愛いがすぎます!! (2020年12月24日 21時) (レス) id: df5e7d6e89 (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - ゴンザレスきらりさん» こんにちは、コメントありがとうございます!ほんとに心臓に悪いですよねあんな細い体で抱えられて、、優しいお言葉嬉しいですがんばります^^ (2019年7月26日 12時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
ゴンザレスきらり - ウォヌくんのお姫様抱っこは心臓に悪いですよ!!(笑) 超絶カッコいいーー!!!このお話最高です!頑張ってください (2019年7月23日 19時) (レス) id: 0910d9f6bb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ymu | 作成日時:2019年7月18日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。