猫知りな彼 ページ13
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眠くて眠くて立っているのがやっとで、からだのあちこちにボールが当たる。怒っている友達の声も聞こえるけど、そんなことよりわたしは眠い。
「A、危ない!!!」
なんて声は遅くて、わたしの顔面には物凄いスピードでバレーボールが飛び込んできた。
めっちゃ痛い…痛すぎる…打った人本気過ぎるだろ………。
でもそれよりやばい、顔面に直撃したから、涙がこぼれ落ちそう。顔を手で押さえる。というか目を手で押さえる。
どうしよう…このままじゃ歩くことすら出来ないし、ここで猫になるわけにもいかないし…。
顔を手で押さえたまま、動けなくなってしまった。
突然からだがふわっと浮き上がった。誰かに抱えられているんだ。
どこにいくんだ!という先生の声と、誰かが、ウォヌ!と叫ぶ声がする。
ああ、チョンくん。助けてくれたんだ。
たぶんチョンくんは人のいないところへ運んでくれているんだろう。
でもお姫様抱っこだよ…恥ずかしすぎて顔から火が出そう。熱い。
「おれだよ、大丈夫」
そうチョンくんの声がしたからわたしは素直に手を外した。出そうな涙と、お姫様抱っこされた恥ずかしさで赤い顔が恥ずかしい。見られたくないから、今だけは、猫になってよかったと思った。
「おいで」
チョンくんはわたしを抱っこして、水道のところへ連れてってくれた。そして冷たい水をかけられる。
戻ってくるからだの感覚。冷たい水をかけられたのに、なんだか火照った頰はおさまらなかった。
そして申し訳なさに押し潰されそうになった。
『ごめんね…チョンくん…』
「なんで謝るの」
『迷惑かけて…』
「そういうときはありがとうって言うんだってスニョンが言ってた」
チョンくんはわたしを励ましてくれているつもりなんだろう。声のトーンも表情も変わらないからわかりにくいけど、この人は優しい人なんだろうなあとおもった。
『たしかにそうだね、助けてくれてありがとう』
「自分でもびっくりした」
からだが勝手動いて、と言いながら、水道の淵に腰掛けたままのわたしの隣にそっとお尻を下ろした。
『チョンくん猫の扱いに慣れてるね』
「昔飼ってたから」
『そうなんだ。猫好きなの?』
「うん、わりとすき」
抱っこの仕方とか、触り方が猫を知ってる人のそれだった。
「でも猫は水が苦手な子が多いのにきみは平気なんだね」
『わたしは不可抗力だから』
「まあたしかにね」
戻ろっか、と言って立ち上がった。
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副リーダー - ディノくんがリスは可愛い!!可愛いがすぎます!! (2020年12月24日 21時) (レス) id: df5e7d6e89 (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - ゴンザレスきらりさん» こんにちは、コメントありがとうございます!ほんとに心臓に悪いですよねあんな細い体で抱えられて、、優しいお言葉嬉しいですがんばります^^ (2019年7月26日 12時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
ゴンザレスきらり - ウォヌくんのお姫様抱っこは心臓に悪いですよ!!(笑) 超絶カッコいいーー!!!このお話最高です!頑張ってください (2019年7月23日 19時) (レス) id: 0910d9f6bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ymu | 作成日時:2019年7月18日 23時