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「Aちゃん、今日なんかある?」
『今日?ないよ』
「じゃあ一緒に帰ろう」
唯一ふたりっきりでいれる場所。朝の登校時間。
わざわざ早起きしてAちゃんの駅で待つ。学校とは反対方向だけど、その分Aちゃんと少しでも長くいれるでしょ?はあ、おれって乙女。
『部活ないの?』
「うん、今日は休み」
『そっか。じゃあ帰ろう』
「最近全然Aちゃんと話してない気がする」
『そう?朝一緒に行ってるじゃん』
「…朝だけじゃん」
『夜だって連絡とってるし』
「……夜だけじゃん」
『朝と夜』
「朝と夜じゃ足りない」
『じゃあ…お昼?』
「なんか違う…」
『どうしたの?』
駄々っ子をあやすように言うAちゃん。ミンギュは小さい頃からこれが見れたんだな。弟冥利に尽きる。いいな。弟は嫌だけど。
「…なんでもない」
『怒ってる?』
「怒ってない」
後輩に言われた通り。おれって拗ねたらすぐ顔に出るし下を向く。わかりやすい。
『ねえハニ』
こんな時にずるい。あんまりたくさん名前呼ばないくせに、こんな時だけ。そんでもって下を向いたおれの顔をすっげー可愛い眉毛下げた顔で覗き込んでくんの。
『どうしたの?』
「どうもしてないよ」
『拗ねてる』
「拗ねてない」
『ハニ、』
おれの両手を持って向かい合って立ち止まるAちゃん。
『もしかして寂しい?』
「………寂しくない」
『ほんとに?』
「…ほんとに」
『じゃあまた友達と遊ぼうかな』
おれの両手を離して歩き始めたから急に不安になってAちゃんの腕を掴む。
『どうしたの?』
悪戯っぽい顔で笑うAちゃんは小悪魔みたい。Aちゃん、こんなにからかい上手だった?どこで覚えたのこんなの。
『ハニ、やっぱり寂しい?』
だめだ。こくん、と頷くとAちゃんの腕を掴むおれの手に、反対の手を重ねてわらう。
『ごめんね寂しい思いさせて』
「…やだし」
『これからはもっとハニといる』
「……当たり前」
『どうしたら機嫌なおしてくれる?』
ほんとはなおってるよ。もっとハニといるなんて可愛すぎじゃない?心臓つぶれそう。
構って欲しいから不機嫌なフリするおれってもしかして5歳児なのかな。
『ハニ、耳貸して』
くいくいと手招きされた方へ近付く。
『すきだよ、ハニ』
は!!?!?!!だからこの子はどこでこんなの覚えてきたの?おれをころそうとしてるよ!!!
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f - このお話何回も読んでるけど毎回キュンキュンが止まらなくて本当に大好きです…!素敵なお話ありがとうございます! (2021年7月30日 15時) (レス) id: f47bd03f70 (このIDを非表示/違反報告)
hanihaniてんし - キュンキュンしました!ハニペンとして、とても嬉しいお話でした!ありがとうございます~! (2019年12月31日 16時) (レス) id: 528189e27f (このIDを非表示/違反報告)
ににに(プロフ) - ウォヌ ペンとしてちょっぴり切なかったけど、めっちゃきゅんきゅんしました (2019年8月28日 0時) (レス) id: 7eaeb151a5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな子(プロフ) - 私が評価ボタン押したら点数?が10になりました!!星全部埋まるってスゴい人気なんですね♪私もお話書いているので、参考にさせてください!!お話、最高です!! (2019年8月17日 14時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - ボボベイビーさん» コメントありがとうございます。陰ながらの応援、ありがとうございますとても励みになりました^^ジョンハンさんとの番外編、楽しみになさっていてください! (2019年7月31日 17時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ymu | 作成日時:2019年7月8日 8時