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無言のままユンジョンハンの最寄駅に着いたけど、ユンジョンハンは降りなかった。
「ねえ」
『はい』
「チョンウォヌが好きなの?」
『はあ…』
「なに」
『前にも言ったと思うけど、』
「うん」
『好きだけど、人として』
「うん」
『別に、』
異性として、とはすぐに言い切れなかった。
好きと言われてから急にチョンくんが異性に見えて、あれチョンくんこんなにかっこよかった?なんて思ってしまったのは事実。
「そういう好きではないって?」
『うん、多分』
これが一番正しい答えだろう。だってわからないから。多分。
「多分ってなに」
『わかんない』
「…チョンウォヌに告白でもされた?」
声こそ出なかったものの、体が跳ねそうだった。いや、跳ねてはないけど。
自分の瞳がぐらぐら揺れている気がする。
『…さあ、』
「………図星かよ」
ユンジョンハンは大きなため息をついて自分の頭をくしゃくしゃっと掻き乱した。
「……なんて答えたの?」
『…なんとも……』
なにも言えなかった。チョンくんはあれからなにも言って来ないし聞いて来ない。あれ、でもこれってもしかして1番傷付けてるのかな、チョンくんのこと。
「なんて答えんの?」
『わからない』
「わからないってなんだよ」
『わからないはわからない』
「好きなの?チョンウォヌのこと」
『わかんないってば!』
なんだか泣きそうになった。なんでこんな言い合いしてるんだろう。
なんて言ってるうちにわたしの最寄り駅に着いて、ユンジョンハンはわたしの手を引いて一緒に降りた。
『なんでここで降りるの!』
「送るから」
『いらない!』
「なんでそんなこと言うの?」
『いいから!帰って!』
「なんでそんな怒ってんの?」
『怒ってない!もう…ひとりにしてよ…』
少し沈黙のあと、ごめん、とだけ悲しそうに言って引き返す電車の方へ歩いて行った。
わたしはひとりで改札を出て歩く。
帰り道、泣いた。
なにしてるの?わたし。情緒不安定はわたしじゃないか。どうしたわたしの情緒。
好きなのに、
わたしの心にズカズカ入ってくるユンジョンハンが、強引で自分勝手なユンジョンハンが、でも優しいところもあるユンジョンハンが、好きなのに。
どうして八つ当たりみたいなことしたんだ、わたしのばかたれ。
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f - このお話何回も読んでるけど毎回キュンキュンが止まらなくて本当に大好きです…!素敵なお話ありがとうございます! (2021年7月30日 15時) (レス) id: f47bd03f70 (このIDを非表示/違反報告)
hanihaniてんし - キュンキュンしました!ハニペンとして、とても嬉しいお話でした!ありがとうございます~! (2019年12月31日 16時) (レス) id: 528189e27f (このIDを非表示/違反報告)
ににに(プロフ) - ウォヌ ペンとしてちょっぴり切なかったけど、めっちゃきゅんきゅんしました (2019年8月28日 0時) (レス) id: 7eaeb151a5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな子(プロフ) - 私が評価ボタン押したら点数?が10になりました!!星全部埋まるってスゴい人気なんですね♪私もお話書いているので、参考にさせてください!!お話、最高です!! (2019年8月17日 14時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - ボボベイビーさん» コメントありがとうございます。陰ながらの応援、ありがとうございますとても励みになりました^^ジョンハンさんとの番外編、楽しみになさっていてください! (2019年7月31日 17時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ymu | 作成日時:2019年7月8日 8時