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「おれは、Aちゃんの笑った顔がすきだよ」
なによそれ。もう思わせぶりもいい加減にして。お腹の底から怒りが湧いてきて何も言えなかった。
「Aちゃん」
『……なに』
「笑った顔だけじゃないけど」
『………なにが』
「笑った顔も、怒った顔も、照れてる顔も、泣いてる顔も、全部」
なに言ってるの?この人は。どこまでわたしを振り回せば済むの。
「おれに冷たいところも、無愛想なところも、毒を吐くところも、でも本当は優しいところも、
全部、すきだよ」
『は?』
「すきだよ、Aちゃん」
待って?は?待って、好き?なんなの?
「なんか言ってよ」
眉を下げて笑うユンジョンハンは、いつもの強気な雰囲気なんて全くなくて。
ああ、わかった。これも作戦なんだね。
わたしが本当の気持ちを言ったら、離れていくんでしょ。そう思うと沸々と怒りが湧いてきた。
『……だれのせいで泣いてると思ってるの』
「え、おれのせいなの?」
『そうだよ』
「なんで?泣かないでよ」
『なんなの?もう…ほんとになんなの』
「なんでそんなに怒ってんの?」
『しらないよわたしだって!』
「おれがなんかした?」
『してない!したけど…わかんない!』
「なんだよそれ…」
優しく笑ったユンジョンハンはわたしの前髪を触って、それからまたほっぺたを触って、もう一度。
「すきだよ」
そう言った。
「おれのこと、嫌いになった?」
なるわけないでしょ。バカ。首を横に振るとわらってわたしの頬を撫でるユンジョンハンは罪な人だと思う。
ここで、本当の気持ちを言ったら離れていくんでしょ?わかってるよ。いつかの告白の場面がフラッシュバックする。
「ごめんね、君とは付き合えない」
「彼女はいないけど、おれ今誰とも付き合う気ないんだ」
わかってる、わかってるよ、裏切られるのは。でも我慢出来そうにないや。
だってわたし、この天使のような顔をして強引にわたしの心に入ってくるユンジョンハンが、どうしようもなく、すきなんだから。
顔なんて見れなくて、ユンジョンハンの手から離れて俯いて、喉から声を絞り出した。
『わたしだって、すきだよ……』
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f - このお話何回も読んでるけど毎回キュンキュンが止まらなくて本当に大好きです…!素敵なお話ありがとうございます! (2021年7月30日 15時) (レス) id: f47bd03f70 (このIDを非表示/違反報告)
hanihaniてんし - キュンキュンしました!ハニペンとして、とても嬉しいお話でした!ありがとうございます~! (2019年12月31日 16時) (レス) id: 528189e27f (このIDを非表示/違反報告)
ににに(プロフ) - ウォヌ ペンとしてちょっぴり切なかったけど、めっちゃきゅんきゅんしました (2019年8月28日 0時) (レス) id: 7eaeb151a5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな子(プロフ) - 私が評価ボタン押したら点数?が10になりました!!星全部埋まるってスゴい人気なんですね♪私もお話書いているので、参考にさせてください!!お話、最高です!! (2019年8月17日 14時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - ボボベイビーさん» コメントありがとうございます。陰ながらの応援、ありがとうございますとても励みになりました^^ジョンハンさんとの番外編、楽しみになさっていてください! (2019年7月31日 17時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ymu | 作成日時:2019年7月8日 8時