カルテ２ ページ7
才華楼。このシャオロンで、幸医であり私の友人であるドクター=ファンクビートが勤める診療所の名前だ。先日彼が裁縫師である私に白衣を直してくれと連絡を寄越したので、久し振りに足を運んでいる。
…あれはもう白衣ではないと思うが。
『やっほーキィ君。元気？』
才華楼の扉を開けると、中性的な顔立ちのキィ君がいた。
「あ、A、久し振り」
『ファンクビートいる？』
「下に」
『オッケーありがと』
また実験か。
たまに彼は医師なのか良く分からないものを作り出している。私は彼がシャオロンに来てから知り合ったのでよく知らないが、もしかすると此処に来る前はそういう系の仕事をしていたのかもしれない。
螺旋状の階段を下りていくと、彼の実験室だ。
相変わらずものが溢れてごちゃごちゃしている。
『ファンクビート、白衣直しに来たよ』
何処にいるか分からず、全体的に声をかける。
が、返事がない。
『ファンクビート？いる？』
視界の悪い部屋。彼の緑の頭は何処にも見えない。
出掛けたのか？
そう思って歩き回っていると、足元になにかが当たった。
『ちょっ…!!ファン!!!!!!』
希代の大天才。ファンクビートが倒れていた。
「…む」
「A！」
『ファンクビート、具合は？』
診察室のベッドの上。
本来なら患者が横たわるところに医師が横たわっている。いや、今は彼こそが患者がなのだが。
「A…？どういうこと……ああ、そうか」
流石腐っても天才なのか、瞬時に自分の状態に気付いたようだ。
「おいファンクビート、大丈夫かよ」
「そう心配するな、キィ。ただの過労だ」
心配そうなキィの頭を撫でてやるファンクビート。いつもなら、子供扱いするなと払うであろうその手を大人しく受けているところを見ると、相当参ったらしい。
『医者の癖に自己管理を怠るとはどういうこと？』
「つい今の実験に没頭してしまってな。猿も木から落ちるとはこの事だ」
と、言いながらベットから降りようとするファンクビート。
『ちょちょちょ、なにしてんの？』
「少し熱があるようでな。風邪もひいているようだから薬を…」
『病人なんだから大人しくしなさい！キィ君』
「ああ、それなら俺も知ってるから取ってくるよ」
パタパタと走っていくキィ君。こういうときは頼りになる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひつじ(プロフ) - ねこまりおさん» わぁあありがとうございます！鉛姫シリーズの作品が増えていくことを、私も１ファンとして期待してます… (2021年2月14日 13時) (
レス) id: 2dde8895f0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこまりお - とっても素敵な作品ですね！鉛姫シリーズなんかは作品数が少ないので嬉しいです。無理をなさらず頑張って下さい！応援します！ (2021年2月13日 18時) (レス) id: b42424beae (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - ひつじさん» いえいえ！とっても楽しみにしています、少しずつで良いので頑張ってください！応援しています (2021年2月9日 17時) (レス) id: 27a2b67915 (このIDを非表示/違反報告)
ひつじ(プロフ) - 本当ですか!!!大変失礼しました!!ご指摘ありがとうございますすぐ直します!! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 2dde8895f0 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - オリジナル作品のタグがついてしまっていることと名前の変換がされていないことを報告させていただきます。鉛姫の夢小説が少ない中、その数少ない作品の一つである貴方の作品に私は期待しています。頑張ってください！もし不快に感じてしまわれたらすみません。 (2021年2月9日 0時) (レス) id: 27a2b67915 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひつじ | 作成日時：2021年2月8日 0時
