小休憩 ページ6
『キィ!ユーシェンさん!あとファンクビート先生!アイスクリン買ってきたよー!』
「この大天才をオマケみたいに言うな!」
『じゃあファンクビート先生は新作アイスクリン無しで』
「待て待て待て待てそれとこれとは話が違うだろう」
ここは才華楼。シャオロンきっての自称大天才がいる診療所だ。ここにお世話になったこともない私が何故アイスクリンを持って遊びに来ているかというと、ここで働くキィと仲良しであることと、アイスクリンを持ってきたときの先生の反応が面白いからだ。
「A、あんまりコイツを甘やかすなよ?」
『甘やかしてなんかないよ、キィ。先生の反応、面白いんだもん』
「あのな……」
現に目の前では三十壱番街の新作アイスクリンを手に持った大天才が小躍りをしている。
子供みたいだなぁと思いながら先生を見つめる私を、キィは呆れた目で見た。
「A、こういうのは嬉しいけれど、君はその、財布的には大丈夫なのかい?」
心配してくれたのは私の憧れでもあるユーシェンさん。凛とした声や姿勢は格好いいと思う。
『大丈夫です。最近大きな仕事を終えたばかりなので』
「大きな仕事?」
『ウェディングドレスの注文ですよ。伝統的な赤いドレス。それとその対となるタキシードも。それで結構潤ってます』
私の仕事は裁縫師。定期的に仕事が入ってくるので、経済的には安定している。
「凡人にしては素晴らしい仕事をしたな、A」
美味しそうにアイスクリンを頬張る先生。
多分これは私の仕事ではなくアイスクリンを持ってきた事への誉め言葉だろう。
『新作アイスクリン、お気に召しましたか?』
「明日も持ってきてくれてもいいぐらいだ」
『なら良かった。まぁ明日も持ってくるのは無理ですけど。自分で買ってください』
「なんだつまらん」
「ファン、君、Aをアイスクリン提供者だと思ってないかい?」
ユーシェンさんの突っ込み。
まぁ来る度アイスクリン持ってきてるからそういう認識されるのも仕方がないだろう。
でも、アイスクリン無しで来れないような雰囲気になってるのは少し辛い。
「別にアイスクリン無しで来たって構わないぞ」
いつの間にか目の前に立っているファンクビート先生。そして顔を近づけて耳元でこっそり囁いた。
「いつでも、この大天才に会いに来い」
かぁっと、顔が熱くなった気がした。
「あれ?Aなんか顔赤く…」
『ちょ、ちょっと用事思い出したので帰りますね!!!』
キィの言葉を遮り外へ。
ああもう!
完
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ひつじ(プロフ) - ねこまりおさん» わぁあありがとうございます!鉛姫シリーズの作品が増えていくことを、私も1ファンとして期待してます… (2021年2月14日 13時) (レス) id: 2dde8895f0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこまりお - とっても素敵な作品ですね!鉛姫シリーズなんかは作品数が少ないので嬉しいです。無理をなさらず頑張って下さい!応援します! (2021年2月13日 18時) (レス) id: b42424beae (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - ひつじさん» いえいえ!とっても楽しみにしています、少しずつで良いので頑張ってください!応援しています (2021年2月9日 17時) (レス) id: 27a2b67915 (このIDを非表示/違反報告)
ひつじ(プロフ) - 本当ですか!!!大変失礼しました!!ご指摘ありがとうございますすぐ直します!! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 2dde8895f0 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - オリジナル作品のタグがついてしまっていることと名前の変換がされていないことを報告させていただきます。鉛姫の夢小説が少ない中、その数少ない作品の一つである貴方の作品に私は期待しています。頑張ってください!もし不快に感じてしまわれたらすみません。 (2021年2月9日 0時) (レス) id: 27a2b67915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひつじ | 作成日時:2021年2月8日 0時