その2 ページ2
「ふむ…」
その男性はこちらを見たまま顎に手を当てて何かを考え始めた。
「A、A、大丈夫かい?」
『大丈夫だよお母さん』
「先生、Aは大丈夫なんですか?治りますか?」
お母さんが『先生』と呼んだのはその緑髪の男性。…まさかこの人がドクターファンクビート?
「見たところ異常はなし…本人も異常は感じていない…」
しかしその先生は母の言葉に見向きもせずただ私をじぃっと見つめて何かをブツブツ呟いていた。
「A、舌を見せてみろ」
『え?』
「いいから」
言われて舌を出す。ファンクビート先生はそれを一瞬だけ見て、また考え込んでしまった。
え、一瞬で分かったと?
「ファン。この子はやっぱり…」
「…そうだな。キィ」
「分かった。」
ユーシェンさんがファンクビート先生に何かを言って、キィと呼ばれた中性的な少年が私の方へ。
「Aさん。一度診察室へ戻りましょう」
『いいんですか?』
「あらかた分かったらしいので…」
本当にあれだけで分かったのか…
友人には聞いていたが、本当に何というか、絶妙に不安になるな…
診察室へ戻って、暫くキィさんと会話をしていた。隣の部屋では3人で話をしていたようだが、年齢が近いこともあってか中々に会話が弾んだので、特に気にはしなかった。
「A」
3人での話が終わったのか、お母さんが何故か疲れきったような顔をして私の名を呼んだ。
『どうしたの?』
「A、お前はこの才華楼に入院だ」
言葉に詰まった母に代わって、ファンクビート先生が答えた。
『入院?そんなに悪いんですか、私の体』
「まぁ、そうだな。」
『はぁ…分かりました』
やけに聞き分けのいい私に疑問を覚えたのか、ファンクビート先生は少し不思議そうな顔をした。しかしすぐに母へと向き直って、何かを話した。
「A、頑張ってね」
最後にそういって帰って行った母の顔が今にも泣きそうだったのは、一体どうしてなのだろう。
8人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひつじ(プロフ) - ねこまりおさん» わぁあありがとうございます!鉛姫シリーズの作品が増えていくことを、私も1ファンとして期待してます… (2021年2月14日 13時) (レス) id: 2dde8895f0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこまりお - とっても素敵な作品ですね!鉛姫シリーズなんかは作品数が少ないので嬉しいです。無理をなさらず頑張って下さい!応援します! (2021年2月13日 18時) (レス) id: b42424beae (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - ひつじさん» いえいえ!とっても楽しみにしています、少しずつで良いので頑張ってください!応援しています (2021年2月9日 17時) (レス) id: 27a2b67915 (このIDを非表示/違反報告)
ひつじ(プロフ) - 本当ですか!!!大変失礼しました!!ご指摘ありがとうございますすぐ直します!! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 2dde8895f0 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - オリジナル作品のタグがついてしまっていることと名前の変換がされていないことを報告させていただきます。鉛姫の夢小説が少ない中、その数少ない作品の一つである貴方の作品に私は期待しています。頑張ってください!もし不快に感じてしまわれたらすみません。 (2021年2月9日 0時) (レス) id: 27a2b67915 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひつじ | 作成日時:2021年2月8日 0時