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ユンジョンハンに対する気持ちが、最下層まで落ちた頃。わたしも奴も、なんの変わりもなく毎日を過ごしていたある放課後。
いつも本を読んでいるわたしはクラスのカースト上位の子達に無理やり推薦される形で図書委員にされた。
図書委員は週1回、放課後に図書室で本の整頓や掃除などをしなくてはいけなくて面倒くさいので、誰もやりたがらない。だから目立たないわたしが格好の餌食になって図書委員にされたわけ。そんで今日は、当番の曜日じゃないけど代わりに。
まあそんなことは置いといて、そう、図書委員の帰り、もう部活動をしている生徒しかいないから図書室の近くの廊下はとても静かで、どこか遠くで運動部の声や吹奏楽部の演奏の音が聞こえる。
帰ろうと階段のほうへ向かうと聞こえる話し声。少しだけ覗き込むと、階段の踊り場に可愛い女の子と憎きユンジョンハン。
「ごめんね、君とは付き合えない」
そう聞こえてきた。ああ、告白ね。盗み聞きみたいで嫌だけど階段を通らないと帰れないし…。困ったなあと少し離れて隠れていた。
「なんで!?彼女いるの!?」
彼女いるかいないか確かめもせずによく告白出来たよな、なんてぼんやり思う。
「彼女はいないけど、おれ今は誰とも付き合う気ないんだ」
ぐすん、と聞こえてくる鼻をすする音。見えないからわからないけど泣いてるんだろう。はあ。どうでもいいけど早くどこか行ってくれないかな、わたし帰れないんだけどなあ。少しだけ覗くと
「でも、気持ちは嬉しかったよ。ありがとう」
そう言って女の子の頭に手を置くユンジョンハンが見えた。女の子は泣きながら頷いてとぼとぼ階段を降りて行った。
よし、帰れると思ったけど今出て行ったら盗み聞き(わざとしたわけじゃないけど)してたのがバレバレだし、とか色々考えて廊下の壁に凭れていたら、目の前にユンジョンハンがいた。
「盗み聞き?趣味悪いなあ」
わたしの目を見てにこにこ笑う天使のような顔をした悪魔。この人の地位はわたしのなかでいま最下位だから、普通の女子は照れるところなんだろうけどなんの感情も湧かなかった。
というより、盗み聞きがバレてたことに焦った。わざと盗み聞きしてたわけじゃないけどね!
『……あんなところで告白されてりゃ通れないんで』
ユンジョンハンは、多分他の女子と違ってわたしが照れもせずいけしゃあしゃあと答えるものだから、気に食わなかったらしく、嫌そうな顔をしていた。
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ymu(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます。遅くなってごめんなさい。続編が出来ておりますので、よかったらどうぞ^^ありがたいお言葉、とても嬉しかったです。 (2019年7月15日 0時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - すごく面白いです。この小説自体の続編も作って欲しいです。終わってほしくない(;_;) (2019年7月11日 17時) (レス) id: e7101afbe1 (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - honeyさん» こんばんは、コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉たくさんありがとうございます!ご期待に応えられるよう更新していきますので続編もどうか楽しみになさっていてください^ ^ (2019年7月8日 22時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
honey(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませてもらってます! 更新されてないか確認しまくって、されてたらすぐ読んでますwコメ遅くなりましたがとっても応援してますので続きも楽しみにしてます!無理せず頑張ってください!ジョンハンさんがんばれ!女の子も自信持てるといいなあ (2019年7月8日 0時) (レス) id: 4ce9f94577 (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - ななさん» こんばんは。コメントありがとうございます!これからどうなるのでしょうか、わたしもたのしみです!たのしみにしていてください!^ ^ (2019年6月29日 20時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ymu | 作成日時:2019年6月25日 13時