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「ていうか、弟と出掛けるのにあんな気合い入れるの?」
『眼鏡がなかったのは、弟に壊されたからです』
「弟グッジョブだね」
『見えなくてなかなか用意も出来ないから、髪の毛は弟が全部やって、服も見えないから弟が選んだものを着てただけです』
「そんなに目悪いんだ」
『外すとほんとに全然見えません』
スマホとお財布しか持っていなかったので、本を読んで時間を潰すことも出来ずベンチでユンジョンハンと話をしていたらお昼休みが終わった。
放課後は図書室へ行って、本の整理をして受付に座って本を読んでいた。
テスト前は少しだけ図書室も混むけど、普段は放課後の図書室なんてほとんどひとがいない。珍しく扉が開いたから顔を上げたらチョンくんだった。そうだ、今日来るって言ってたな。ちょうど、借りた本があともう少しで読み終わりそう。
「ここで勉強しててもいいですか」
『もちろん』
図書委員の仕事はとてもすき。人はあんまり来ないし、静かな空間でいろんな本を読んでいられるから。放課後、どこかから聞こえる部活動の声も、遠くて、夕方の空が綺麗で、マジックアワーなんてよく言ったもの。
「マジックアワーですね」
そう思いながらなんとなく窓の外を見ていたら、いつのまにか隣に来ていたチョンくん。
『おなじこと、考えてた』
「綺麗ですね」
『月じゃなくて残念』
夕日に照らされて少し赤くなった顔のチョンくんはこっちを見てわらった。
『そうだチョンくん、本読み終わったよ』
漫画とかならここでいい感じになるのだろうけど、わたしとじゃならないでしょう。寧ろチョンくんがかわいそうで申し訳なかったから、無理やり話題を逸らした。
『ありがとう。すごくすきな話だった』
よかった、と本を受け取ったチョンくんが帰り支度を始めたので、周りを見渡したらもうわたしたち以外は誰もいなかった。
「もう閉めても大丈夫そうですね」
『うん、帰ろうかな』
少し片付けをして鍵を閉めて、職員室に鍵を返しに行く。こないだと同じでチョンくんは職員室の前にいた。
『待ってなくてもいいんだよチョンくん』
「迷惑ですか?」
なんだか申し訳なくなってそう言ったけど、真顔のチョンくん。チョンくんってユンジョンハンとちがって表情豊かじゃないなあ。全然いいんだけど。表情筋ムキムキじゃないね。
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ymu(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます。遅くなってごめんなさい。続編が出来ておりますので、よかったらどうぞ^^ありがたいお言葉、とても嬉しかったです。 (2019年7月15日 0時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - すごく面白いです。この小説自体の続編も作って欲しいです。終わってほしくない(;_;) (2019年7月11日 17時) (レス) id: e7101afbe1 (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - honeyさん» こんばんは、コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉たくさんありがとうございます!ご期待に応えられるよう更新していきますので続編もどうか楽しみになさっていてください^ ^ (2019年7月8日 22時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
honey(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませてもらってます! 更新されてないか確認しまくって、されてたらすぐ読んでますwコメ遅くなりましたがとっても応援してますので続きも楽しみにしてます!無理せず頑張ってください!ジョンハンさんがんばれ!女の子も自信持てるといいなあ (2019年7月8日 0時) (レス) id: 4ce9f94577 (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - ななさん» こんばんは。コメントありがとうございます!これからどうなるのでしょうか、わたしもたのしみです!たのしみにしていてください!^ ^ (2019年6月29日 20時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ymu | 作成日時:2019年6月25日 13時