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昼休みの図書室はほとんどひとがいない。すごく静かで、なんとなく窓際に行って下にあるグラウンドを見ていた。
昨日までは平和に教室でひとりでお弁当食べていたのに、ユンジョンハンのせいで教室にすら居られないなんて。お腹すいたなあ。
扉が開く音がして、反射的に振り返るとそこにいたのはいま1番会いたくないひとだった。
「見つけた、Aちゃん」
驚いて動くことすら出来なかった。ぴたりと止まって顔だけ歪めるわたしに、相も変わらずニコニコしながら近付いてくるユンジョンハン。
そっとわたしの隣に立って、わたしがさっきしていたのと同じように窓の外を見た。
「なんかおもしろいもの、あるの?」
『………なにもないです。考え事してただけ』
「ふうん。ねえ、Aちゃん、お昼まだでしょ?一緒に食べよ」
そう言うと有無を言わさずわたしの腕を掴んで図書室を出るユンジョンハン。離してくださいとぶんぶん手を振るけどなんの効果もなし。立ち止まろうと踏ん張りもしたけど、ぐっと引っ張られておしまいだった。意外と力強いんだなあ、女の子みたいな顔して。
抵抗虚しく連れて来られたのは人通りの少ない中庭のベンチ。ユンジョンハンは座ったけど、わたしはせめてもの抵抗で腕を掴まれたまま棒立ちしていた。
「座ってよ、Aちゃん」
『………いやです』
「なんで?」
そんなタイミングで鳴るわたしのお腹。音を聞いて目を細めて笑うユンジョンハン。お腹を呪った。ふざけるな。なんてタイミングで鳴ってくれてるんだ。
「お腹すいたよね、たべよ」
そう言うと購買で買ってきたであろうコーヒー牛乳を飲んでパンをかじるユンジョンハン。わあ、漫画に出てきそうなシーン。呆けた顔してお昼ごはんを食べているユンジョンハンを見てると、なんだかもうどうでもよくなってきて、そんなことよりお腹空いたなあとわたしはユンジョンハンからかなり離れてなんなら背中を向けてベンチに座って鞄からお弁当を出した。
それでもユンジョンハンはわたしが隣に座ったことが満足そうだった。
「自分で作ってるの?」
『そうです』
「いいなあ」
『自分で作ってみればどうですか』
「ちがうよ、Aちゃんが作るお弁当がいいなあって言ってるの」
俺も食べたいなあと伸びをしながら言うユンジョンハン。あなたなら、頭下げてでもお弁当作らせて欲しいって女子がわんさかいるでしょうに。
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ymu(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます。遅くなってごめんなさい。続編が出来ておりますので、よかったらどうぞ^^ありがたいお言葉、とても嬉しかったです。 (2019年7月15日 0時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - すごく面白いです。この小説自体の続編も作って欲しいです。終わってほしくない(;_;) (2019年7月11日 17時) (レス) id: e7101afbe1 (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - honeyさん» こんばんは、コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉たくさんありがとうございます!ご期待に応えられるよう更新していきますので続編もどうか楽しみになさっていてください^ ^ (2019年7月8日 22時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
honey(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませてもらってます! 更新されてないか確認しまくって、されてたらすぐ読んでますwコメ遅くなりましたがとっても応援してますので続きも楽しみにしてます!無理せず頑張ってください!ジョンハンさんがんばれ!女の子も自信持てるといいなあ (2019年7月8日 0時) (レス) id: 4ce9f94577 (このIDを非表示/違反報告)
ymu(プロフ) - ななさん» こんばんは。コメントありがとうございます!これからどうなるのでしょうか、わたしもたのしみです!たのしみにしていてください!^ ^ (2019年6月29日 20時) (レス) id: 89080e4533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ymu | 作成日時:2019年6月25日 13時