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「ヤンヤン! 待っててくれたの!?」
扉が開くと、びっくりして駆け寄る。ちょっと震えてるし、鼻は赤くなっていた。
「遅い時間だし一人で帰るの心細いかなーって思って」
「ありがとう!! 本当に…」
「心配かけんなよ」
「…ごめん…」
長旅の疲れとバスを間違えてしまったことで割と本気で落ち込んでしまっていた私の背中をポンと叩くと、行こう、と寮のほうに歩き始める。
もうすっかり夜で、怖いぐらい暗い道も時々ある。
一人だとちょっと不安だけど、ヤンヤンがいるから大丈夫だ。
今日あったことを話しながら、二人並んで楽しく歩いていた。
その時。
「わぁぁぁあっ!!!」
バランスを崩して転びそうになる。急な坂道で地面が凍っていて、滑りやすくなっていた。
「A、大丈夫!?」
目の前にあったものを咄嗟に掴むと、差し出されたヤンヤンの手だった。
「はぁ、もう、危ないんだからちゃんと足元見ててよ」
そう言うと支えて起こしてくれる。
ヤンヤンのおかげで助かったとほっとしていたのだけれど、握ったままのヤンヤンの手が凍るように冷たいことに気づく。
「ヤンヤンの手、すっごく冷たい。あっためてあげる」
私はさっきまでバスの中にいたからぬくぬくだし。ヤンヤンの手を自分の手のひらで包むようにして温めようとした。
「だめ、それだとAも寒くなっちゃう。」
そう言うと不意に、繋いだ手を自分の上着のポケットに突っ込んだヤンヤン。
「このほうが二人ともあったかいでしょ」
さらっと言ってのける横顔を盗み見ると、さっきよりも頬も耳も赤くなっていた。寒いから…じゃ、ないよね。
「うん、あったかいね」
外が暗くて良かった。そうじゃなかったら、にやにやしてしてるのがバレちゃってた。
寮に着くと、エレベーターでバイバイだ。
「A、また明日ね」
「うん、おやすみ、ヤンヤン」
「おやすみ〜」
手を離すのがちょっぴり名残惜しい気もするけど、遠出をして疲れた体を休めないと。
手を振って、それぞれの部屋に戻って行く。
ヤンヤンのこと、素敵な男の子だとは思ってたけど。こんなドキドキするようなことが起きたのは今日が初めてで、なかなか寝付けなかった。
なんか、ヤンヤンのこと、意識しちゃうな。
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作者名:ひゃんす | 作成日時:2024年2月5日 13時