she/sea ［Fuma.K］

知りゆく 7 ページ25

「なー、健人ってやつの写真ねえの？」






ベッドに腰掛けてスマホをいじる彼女にそう問いかける。

話題がなかったっていうのもあるけど、ただ、少し興味があった。

あいつがずっと嬉しそうにしてるから。

健人というやつが来る日が近づくにつれて、自然と顔がほころんでいるあいつの幼馴染がどんなやつなのか、ちょっと見てみたいと思った。





「えー、あるけど……」



もったいぶってみせながらもその顔は綻んでいる。



「イケメンだよ？？」



「はあ？俺より？」



「なにそれ、自分で言わないでよ」



クスクスと笑いながら彼女はスマホのフォルダを遡り始める。



「あー、あった、これ、このひと。」




手渡されたスマホの画面には、ピースをするAと、健人と呼ばれる男。







これ……………








「ね、どう？かっこいいでしょ」






俺は笑うことも、そうだななんて適当な相槌を打つこともできない。


ただ、画面の中で笑うそいつの存在の、受け止め方がわからなかった。








どうして、お前がまた、ここにいるんだよ。


どうしてまた、こいつの隣にいるんだよ。









俺の前世の罪は俺が思っていた以上に重たいものだと、俺はそこで気づいた。






残酷だ。



俺だけがこいつらを覚えている。

悲しい記憶も苦しい記憶も共有できない全部を抱えて。







そして、今度はお前は笑っている。


その1枚の写真はふたりの仲の良さを物語るには十分すぎた。

俺にはその写真が飲み込めない。

俺の知ってるふたりじゃない。




だけど確かに俺はふたりを知っている。









俺はこいつに、その男に、会ったことがある。

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