知りゆく 3 ページ21
「それ、着いてっていい?」
「えー、どうしよっかな」
風磨は怪訝そうな顔で眉間にしわを寄せる。
「えっ」
「うそ。行こーぜ」
そういって少し照れたように笑う、彼がなんだか愛おしいと思ってしまった。
不思議だしなに考えてるかわからないのに、時々こうして感情をあらわにする。
照れたり、する。
意外とまっすぐで素直な人なのかもしれないと思った。
"健人!久しぶりに会えるの楽しみにしてる!"
急いでラインを打って、風磨の後を追いかける。
彼は迷うことなくやはり坂を下って行って、海へと向かった。
.
「飽きないね」
「まあな」
飽きずに俺についてくるお前も大概だ、と思いながら俺は生返事を返す。
「どうしてそんなに海が好きなの」
それは俺には難しい質問だった。
海は好きだったけど、だから海ばかりに足を運んで、海ばかりを撮ってたんじゃない。
「………さぁ。」
「いつから海、追いかけてるの」
海、か。
俺が"それ"を探し始めたのは高校生の頃だ。
「…高校生になった頃からかな。
休みの日には決まってどっかの海に出かけてた」
今思えば無謀だったと思う。
この世界に海岸なんて山ほどあって、一生かかったってその全てを練り歩くのは不可能だろう。
それに、海に行ったからと言って彼女に会える保証なんてなかった。
ただ、彼女はまだ俺と同じ時代に生きている気がしただけ。
そして、彼女への手がかりは海。
たったそれしかなかったということ。
だから俺はそれに賭けて、「人探し」のために海を求めるようになったのだ。
「………理由がある?」
「………俺にもわからねぇよ」
「前世のこと?」
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mana. - マゼンダさん!もうお話を描かれるのはやめてしまったんでしょうか?とっても寂しいです。いつかまた読める時が来ることを祈ってます!待ってます!! (2021年8月29日 5時) (レス) id: bff4af5f5b (このIDを非表示/違反報告)
sooooo - マゼンダさんの作品いつも楽しく読ませてもらってます!続きが気になりすぎます、、頑張ってください! (2020年4月9日 23時) (レス) id: 0f0f07dd15 (このIDを非表示/違反報告)
愛莉(プロフ) - マゼンダさんのお話大好きです!毎回マゼンダさんのお話が濃くて吸い込まれていきます!!お話書くの上手ですね!いい意味で自然と涙が出てきます!!このお話の続き気になります!頑張ってください!!! (2019年7月3日 19時) (レス) id: 8f456c3f46 (このIDを非表示/違反報告)
マゼンダ(プロフ) - 有紗さん» お返事遅くなりすみません!わわ、全部読んでくださったんですかありがとうございますすぎます(;_;)少しでも感動していただけていれば嬉しいです頑張ります…! (2019年3月14日 0時) (レス) id: f72ec701de (このIDを非表示/違反報告)
マゼンダ(プロフ) - 夜桜さん» お返事遅くなりすみません!更新滞ってしまってますが必ず書ききるのでよろしくお願いします、! (2019年3月14日 0時) (レス) id: f72ec701de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マゼンダ | 作成日時:2018年12月16日 21時