she/sea ［Fuma.K］

プロローグ 3 ページ3

その人はファインダーを覗き込むのをやめて、私の目をじっと見つめた。






「………今、私を？」





「ああ。海によく似合ってたから」






その人は私より少し年上に見えた。

ハタチぐらい？見たことない顔。




気にするタチでもないけれど、いきなり写真を撮られたものだからさすがに少し怪訝な顔をしてわたしは彼を見つめた。






「………写真、撮りに来たんですか？」






「まあ、そんなとこっすね。海、好きなんで。」





「そうなんですか。」







彼が海に視線を移すのに合わせて、私も海へ目線を移す。



いつも見ているこの海も、こうして改めてじっくり見たのは久しぶりな気がした。







「………綺麗でしょ」






「………ですね」





パシャリ、と隣からまた音がした。







「………海。」





不意に彼がそんなことをつぶやく。






「…え？」






彼はファインダーを覗き込んだまま、少しだけ笑った。






「………いや。なんでもない」







ほんの少し不思議な雰囲気を持った人だった。





だけどどこか、隣にいると懐かしい気持ちになった。

健人と海に来てた頃を思い出したからだろうか。






よくわからないけど。






「………あ。ところで、この辺って泊まれるとこあります？


この海気に入ったから、長居したいんですけど」

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