彼女の幸福理論大人組 (ページ5)

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4話ページ5

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「どう？雪村、Aちゃんの事好きになった？」

休憩中に先輩がそんな事を聞いてきた。

俺は正直「はぁ？」と思ったが、グッと押さえて苦笑を漏らした。

「えっと…Aって苗字無いんですか？」

「うーん…あるけど、嫌らしいんだ。その名前。」

…確かに、捨てられた前の名前で呼ばれるのは嫌かもしれない。

そんな事を知っていく内に少しAに興味を持った。

「…少し興味は沸いてきました。」

「でしょ？でも、お付き合いはやめておいた方が良いよ。

Aちゃんのお兄さん、すっごいシスコンだから。」←

「は、はぁ…」

なら何故どう思うか何て聞いてきたんだ。

と思った。

ーーーーー

「お兄ちゃん、お兄ちゃん。」

「どうした？A。」

「これあげる！」

Aは俺の腕に何かを付けた。

「…これ…」

「どう？秋ねぇと作ったんだよ。」

少し歪だったが、ミサンガと分かった。

「お兄ちゃんが試合で勝てる様に、お守りだよ。」

ニコッと笑うA。
凄く愛おしく感じ、ギューッと抱き締めた。

「ありがとな！」

「うん！」

俺はAが好きだった。

周りにシスコンとか言われていたけど、とても好きだった。

・

俺は二十四歳になり、久しく実家に帰った。

…そこに、Aの姿は無かった。