彼女の幸福理論大人組 (ページ34)

今日:3 hit、昨日:20 hit、合計:98,585 hit

聖なる日には…5 ページ34

・

「俺…兄さんと歳が離れてるからあんまり思い出無くって…」

「成る程…」

俺は「分かった。」と言い、Aの頭を撫でた。

「クリスマス、一緒に過ごそうな。」

「うん。…イヴ、一緒に過ごせなくて御免ね…」

Aは俺の服を握り直す。

何時もと違い、汐らしいAも可愛いな。

とか思った。

作った料理を食べ終えた。

Aは朝も昼も食べずにマフラーを編んでいたらしく、凄い食欲だった。

「よしA、街に行こう。」

「うん。」

Aが作ってくれたマフラーは途中で断念した為短く、使えなかった。

・

街はイルミネーションで飾られていて、とても綺麗だった。

すると、Aは握っていた手を強く握り直した。

二人共自然とベンチに座り、街のツリーやらを見ていた。

「…兄さん、首もと寒そう。」

「確かに、ちょっと寒いな。」

「…ん。」

Aは俺がプレゼントしたマフラーを俺の首にも巻き付けてきた。

俗に言う、二人で一つのマフラーを巻く。と言うヤツだ。

意識をしてしまい、顔が熱くなるのが分かった。

Aの顔を見ると寒さのせいかは分からないが頬と鼻が紅くなっていた。

二人の間を静寂が包む。

その静寂をAが破った。

「…今日、ありがとう。俺の我が儘に付き合ってくれて。」

「我が儘何かじゃ無いさ。俺だって、Aと出掛けるのを望んでいたしな。」

「そっか。」とAは言い、俺に持たれ掛かってきた。

Aの体温が少し腕に伝わった。

俺はAに向き直り、聞く。

「…なあ。俺ってAの中でどんな存在？」

「どんな…って、兄じゃ…」

「…只の兄さんか？」

…俺、何言って…

頭ではそう考えるも口は止まらない。

Aの肩を掴み、体が俺に向く様にさせる。

そして、少しずつ顔を近づけていく。

…何で、抵抗しないんだよ。

抵抗でもしてくれたら諦めが付くって言うのに。

もう鼻と鼻がくっつく距離。

俺はAの唇に自身の唇を…

「おーい風丸！A！

…ってあれ？」

「え、円堂！！」

Aは我に返り、今のこの状況と円堂達の存在に、顔を真っ赤にさせた。