その道の先へ－賢者の石②－ (ページ17)

今日:5 hit、昨日:10 hit、合計:12,607 hit

－番外編－欲ページ17

それは、ホグワーツでの寮杯発表が行われる、前の日だった。

「ねぇ、セブ～聞いてよ」

スネイプの研究室に無断で入って来たジルは、煩わしい声で彼に話し掛けてくる。

ジルと2人きりの時は、スネイプを先生と付けずに、彼女はセブと愛称で彼を呼ぶ。

ジルの両親との付き合いもあるので、それをスネイプは許していた。

彼女の機嫌を損ねると、アズカバンから出てきたジルの両親に何を言われるか分からないから……。

「何だね？」

「私ね、あのマトウとかいう子の記憶を見たの。
ハリーの言っていた、マトウがキレイとかいう人に助けを求めていたって聞いて」

ジルは人を絶対的に従える言霊の力だけでなく、人の過去や、その人が大切に思っている人物の詳しい経歴を知る事が出来るという能力を持っている。

確か、ジルの両親はそういった能力を持ち合わせていない。

ジル自身は、能力を自覚してから、自分は神に選ばれし者だと両親やスネイプに常々言っていた。

娘に甘い両親は、全く持ってその通りだとジルを褒めていた。

「で、何か分かったのかね？」

「うん。その人ね、神父でありながら人を殺していたの。でも言動が凄くセブに似てて……」

キレイについて説明している時、ジルの頬が僅かに赤く染まっていた。

「もしかして、惚れたのか？」

「うん。だってカッコ良かったし？セブに似てるし？
マトウがこっちの世界に来た様に、私もあの世界に行きたいわ……。キレイのいる世界に。
きっと私を見たら、この黒い艶のある濡れ羽色の髪や私から漂う甘い匂いに夢中になるかもしれないもの」

ジルの説明を聞きながらスネイプは、あのAがどんな反応をするか気になったのだった。