その道の先へ－賢者の石②－ (ページ13)

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気遣いページ13

てっきりスネイプは、ハッフルパフの寮前で手を離してくれるかと思ったら、そのまま彼の研究室まで連れて行かれた。

「あ、あの、スネイプ先生……」

「用があると、我輩はあやつに言ったからな。
嘘の真偽を確かめる為に、あやつが我輩の研究室まで来たら面倒だからな」

つまり嘘を本当にしようと言う事か。

先程のルシウスという人が、スネイプの研究室を訪ねて、Aがいないのを認めると、問答無用で捜し出すだろう。

スネイプ先生なりに、気を遣ってくれた？

スネイプの研究室は、薄ら寒く、部屋には必要最低限の物しか置かれていなかった。

棚の至る所には、授業で必要な薬草が置かれている。

「薬草が揃っているか、このボードを見ながらチェックしたまえ」

「は、はい……。その前に、1つ聞いていいですか？」

「先程のルシウスの事か」

「はい。知り合い、何ですか？」

「あやつは、我輩の先輩だ。美しい物に目がなく、何が何でも、自分の物にしようとする奴だ。
それが人であってもな」

そんな父親を持つドラコに、Aは内心同情した。

ドラコはこの事を知っているのだろうか？

「あの、もしまた声を掛けられたら……」

「無視を決め込めば……いや無理であろうな。
誰かに助けを求めるのが、1番だ。
ただし、あやつは貴族で純血であるから、助けを求める相手も選べ」

スネイプは普段の性格からも想像出来ない程、ルシウスに対する対策をツラツラと教えてくれた。

「そんなに教えて貰ってもいいんですか？
本人に」

「我輩はあやつが苦手であるからな。
少しでも、欲しい物を手に入れることが出来ない、という気持ちを味わうべきだと思うのだ」

どうやらスネイプは、本当にルシウスという人物が苦手らしい。

スネイプはこの話は終わりだと言わんばかりに、椅子に座って、レポートの採点を始めた。

Aも、薬草の点検をする事で、ルシウスという人物を忘れようと試みた。