送り主 ページ12
「おや、君はもしかして？」
ハンナ達を見送った後、寮へ戻ろうとすると、大広間前で声を掛けられた。
声からして教員ではない。振り向いて相手を確認すると、長い銀髪の長身の男性が立っていた。
手には先端に蛇の頭が付いたステッキを持っている。
相手はどうやらAを知っている様だが、彼女には身に覚えがない。
Aの怪訝な表情を見て取ったのか、男は失礼と詫び、自身の名前を名乗る。
「私の名前は、ルシウス・マルフォイだ。
クリスマスに送ったプレゼントは気に入って貰えたかな？」
名前には聞き覚えがなかったが、苗字を聞いてAは「もしかして、ドラコのお父さんですか？」と問い掛けた。
クリスマスに送ったプレゼントとは、恐らくあの黒のネグリジェの事だろう。
「如何にも。私は、ドラコの父親だ。
して聞くが、プレゼントは気に入って貰えたかね？
ドラコから、珍しい東洋人だと聞いて、君に似合うと思って送ったのだが」
そこでルシウスは、まるでAの全身を舐め回すかの様な視線を送った。
Aの背筋に、ゾッとした感覚が押し寄せて来る。
こんな感覚は、今までになかった。
あの臓硯と対峙した時も……。
あまりこの人の側に居たくはなく、出来るだけ理由を作ってその場を去りたいと思ったが……。
ルシウスは不意に手を伸ばし、Aの髪の先を掴んだ。
肩が震え、ひゅうっと喉が鳴る。
彼女の反応を見て、ルシウスは満足したかの様に手を離した。
彼が何かを言おうと口を開き掛けた時。
「Mr.マルフォイ。そこで何をしている？」
ルシウスの背後から、スネイプの声が呼び止めた。
彼はやれやれとした面持ちで、スネイプを振り返る。
「これはこれは……セブルスじゃないか」
「挨拶は結構だ。そこで何をしている？」
「何々、息子のドラコから聞いた娘が、どんな子か気になって見に来たのだよ」
スネイプはAを見る。彼女は怯えた様に、スネイプを見返していた。
彼女がスネイプに怯えている訳ではないというのは、一目瞭然だ。
「Ms.マトウは、これから我輩と用事がある」
「ほう？」
「行くぞ」
何かを言いたそうなルシウスを残し、スネイプはAの手を無理矢理引っ張って、その場を後にする。
Aは戸惑いを感じながらも、一刻も早くその場を離れたかったので、スネイプに従った。
背を向けていても、ルシウスのねっとりとした視線は、嫌でも感じた。
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作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2020年9月5日 10時
