短編集 (ページ2)

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嫉妬(憂国・ルイス) ページ2

庭園に咲いている花の様子を見ようと屋敷から出た時、遠目にウィリアムを見つけた。

兄を呼ぼうと口を開きかけた時、ウィリアムの前に1人の女性がいたのにルイスは気付く。

名前は確かA。

毎日屋敷に来て、自身の兄であるウィリアムと楽しそうに話している女性だ。

彼女はウィリアムと楽しそうに話し、朗らかに笑っている。

対するウィリアムもまた……。

Aと同じ様に、照れくさそうに笑っていた。

ルイスはそんな兄を見て、初めて嫉妬という感情を抱く。

ルイスはAが好きだった。だが、兄の計画……悪い貴族を破滅させるという事の妨げになると思って、Aには告白が出来ていなかった。

Aはルイスに対して、優しい言葉や慰めの言葉をかけてくれることもある。

それはAがルイスが好きだから気にかけてくれるのだと、勝手に思い込んでいた。

今にして思えば、彼女のルイスに対する眼差しは、弟を気遣う眼差しに似通っていた。

ウィリアムと話しているAの眼差しは、恋をしている女の目だった……。

1度生まれた感情は抑えることが出来ない。

Aに振り向いてもらいたい。Aに名前を呼ばれたい。Aに自分だけを見てもらいたい。

ルイスはどす黒い感情を抱いたまま、2人の元へと足を向けた。

(了)

○あとがき

ルイス、可愛いしかっこいいですよね。自分は、ヘルダーが1番好きですがルイスも好きです。
あの眼鏡越しから、冷たい目で見下ろされたい願望。