番外編ー複雑な ページ43
「桜舞い散るように私の心もまたーーん、あれは？」
相変わらず鼻歌を唄いながらグリンデルバルドは、中庭へと続く回廊を歩いていた。
外は小雨になっており、中庭に咲いている雑草を艶々濡らしている。
中庭の真ん中に濡れながらボーっと空を見上げる少女が。
「A、そこにいたら濡れるよ」
「あ、えっと」
Aは即座に誰か分からないよう。
グリンデルバルドが中庭へと出ながら名乗ると、Aは思い出した。
「グリンデルバルドさん、でしたか？」
「はは、忘れるとは酷いな。私を自由にしてくれたのは君なのに」
「色々ありましたからね」
「で、この小雨の中、何をしていた？ ボーっとしていた様だが」
「これからどうしようか、考えていたんです」
雨に濡れたAは、どこか妖艶に感じ、グリンデルバルドは微かに息を呑む。
迷い子の様な声音で、Aが言葉を続ける。
「ここに残るべきか、はたまた大切な人といるか。
私にはどうしたらいいか」
「なら、私と来ないか？」
ヘッと彼女が首を傾げる。その仕草に何故か胸が熱くなるのを感じたが、グリンデルバルドは努めて意識しない様にした。
「君はここに残るには惜しい。私がここを辞めても、教師陣は何も言わないだろ。監視役は送られてくるかもしれないがね」
「それってつまり、貴方とここを出ると？」
その意味以外に何があると、グリンデルバルドは言った。
先程も思ったが、彼女はホグワーツに相応しくない。Aと一緒にいたい口実が他にもある様な気がしたが、複雑な気持ちのままでは、言葉にも出来なかった。
グリンデルバルドの言葉を、Aは思案したが。
「ごめんなさい。私は貴方と出る事は出来ません」
「ほう、それは何故？」
「既に言われたばかり、だからです」
頬を染めて告げる彼女は、恋をした乙女そのもの。つまり大切な人とここを去るか、残るかについて悩んでいたのか。
男心を無意識に擽るとは、天然な悪女ではなかろうか？
芽生えた期待が萎れたのを自覚し、グリンデルバルドはつい意地悪く言った。
「そうか。ふんなら私は、君がせいぜい無様に悩むのを見ているとするさ」
「はい、そうして下さい。それでは」
グリンデルバルドの気持ちなど露知らず、Aは濡れた制服のまま校内に戻って行く。
その背をグリンデルバルドは、雨に濡れたまま見ているしか出来なかった。
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カフェラテ@夜勤確定?(プロフ) - ベルモットさん→コメントありがとうございます。楽しんでいただいて何よりです（╹◡╹） (2022年12月25日 21時) (
レス) id: 0416b00b3c (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。私の夢小説を態々お読みになって下さいましてありがとうございます。私もカフェラテさんのハリポタシリーズを楽しんで読んでいます。お互いに頑張りましょうね。 (2022年11月30日 13時) (レス) id: 9942db35dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁ホームズ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2022年9月30日 15時
