11.世界は君に残酷だった。 ページ11
「ただいまー…あれ、グロッキーが一人増えてる。来てたんだね、沢城くん」
「……こんばんは…」
「こんばんは。そっかあ、経緯も分からないままアレ見ちゃったのかー…災難だったねえ」
…グロッキーが一人増えてるって、端から居た三人はそうなること前提だったの?
私が来たときには眠っていた高山くんも、私という人間がここに居ることに疑問を抱いていた松岡くんも、私に協力すると言ってくれた戸田くんも、今はもう映っていない端末から視線を離して卓袱台に突っ伏していた。
私が来たときには居なかった沢城くんも、壁に凭れた状態ですっかり燃え尽きたように意気消沈してしまっている。
「どうだった?なんかしばらく夢に見そうでしょ。またAちゃんも合意の上だったから尚更ねー…つくづく人間という奴は業が深い。」
「…でも、私、痛かったし辛かったけど、お母さん達の役に立てるならそれで良かったの。…結局、使いどころもなくて役に立てなかったけど…」
「…役に立つとか立たないとかって言うか、人道的にどうかと思う話なんだけど…今のAちゃんにはそういうのはちょっと難しいよねえ」
よしよし、と野沢くんに頭を撫でられて、私は大人しくそれを甘受する。
お母さん達と過ごしていたとき以外の私は専ら部屋の中に居てずーっと“ゲゲゲの鬼太郎”を見ていたから、私は多分、普通の人よりも世間知らずだ。
「それでいてこうだから…Aちゃんてやればできる子なのかもね。要領良いし」
「…そう、かな?」
……ところでだけど、グロッキーな彼らはそのまま放置しておいていいんだろうか…。
さっきから微動だにしない彼らに心配になってきてしまって、他の彼らに比べると緊張しない戸田くんの傍に行って背中を撫で擦る。
「戸田くん、大丈夫…?」
「…大丈夫じゃない…」
「うん…ごめんね、やっぱり私の過去なんて知らないほうが…」
「うううそうじゃなくてえ!」
「ひゃ、」
突っ伏したままの戸田くんからの応答にしょんぼりしながら応えると、彼はがばりと上体を起こした彼は喰い気味に私の謝罪を遮った。
がしりと私の両肩を掴んだ戸田くんにびっくりして瞬きをしていると、「いいかいAちゃん!」と声を掛けられてはっと戸田くんの目を見た。
「君の過去のことに関して、君は何一つ悪くないんだ。君が謝ることなんて何にもないんだよ!」
「、…でも、私、」
「幼い子供の君にあの人達を止めることなんて出来なかった…!」
12.無自覚が故、本性、本音。→←10.その時の君は大人びて見えた。
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あかさ(プロフ) - まさに理想的な作品です!ありがとうございます!これからも自分のペースで更新頑張ってください応援しています! (2020年7月10日 17時) (レス) id: b95934ac5e (このIDを非表示/違反報告)
天ぷらうどん(プロフ) - 久しぶりにここまで好きだと思える小説に出会えました。ありがとうございます。 (2020年4月14日 23時) (レス) id: 66592d74f2 (このIDを非表示/違反報告)
花音 - はじめまして☆
こんな素敵な小説が読めて感激です(≧∇≦)
続き頑張って下さい♪
これからも応援しています(* ̄∇ ̄*) (2018年12月2日 1時) (携帯から) (レス) id: c2a24ddc02 (このIDを非表示/違反報告)
☆美海★(プロフ) - はじめまして!感動しました!続きを待ってます! (2018年10月13日 7時) (レス) id: f265199ff6 (このIDを非表示/違反報告)
夢桃 - 自発的社畜さん» 続き待ってました!!松岡くんとの絡みがありとても嬉しかったです!占ツクでの楽しみが出来ました!ありがとうございます!! (2018年9月4日 18時) (レス) id: 213a5fa962 (このIDを非表示/違反報告)
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