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「ちょっとー、僕質問してるんですけどー？」
『はゎ』
「ンッフ、またアホ面しとるやん」
『からかわないでよ！』
「手ぇばり熱いけど、照れたん？」
『うううるさいなぁ！自分が手馴れてるからって！』
「別に手馴れてへんわ」
重ねられていただけのシャオちゃんの手が、細い指が、するすると私の指と指の隙間をなぞる。少しだけ力が入ったと思えば隙間にねじ込んできて、日に焼けた大きな手のひらにすっぽりと重ねられて隠されてしまった。
別にいやらしいことをされている訳でもないのに、その仕草のひとつひとつに鼓動が速く動いてしまう。
「……なぁ、考えて？」
『う、』
「俺らさ、お前が転校しやんかったらずっと一緒に居ったと思うねん。お前の告白があろうが無かろうが」
『あれはもう忘れてください』
「忘れません。で、つまりもっと色んなとこ行ったり色んなもん食ったり、何でも出来たと思うねん。俺の野球の試合見に来させたり、……お互いの恋人が出来たら祝ったりさ」
その言葉を聞いて想像する。あの日、私が言わなくても、シャオちゃんは私の傍に居てくれたのかな。きっと、居てくれるんだろうな。
ふと、林間学校で2人で抜け出して星を見た時のことを思い出した。
( 「全部、取り戻そうぜ」 )
「俺はお前と、そういうのがしたいって思ってたんですが」
昔から、鬼ごっこも隠れんぼも野球も、シャオちゃんに勝てなかった。引き分けよりも負け越しの方が多かった。それが悔しくて、夜になるまで勝負を挑んでた。
『そ、れは私もだけど』
周りから「Aくん」って呼ばれるのが嫌だった。でも何度言っても聞いてくれなくて揶揄いながら連呼された。それでも、シャオちゃんだけは私のことを「A」って呼んでくれた。
「それをしようって言ってるんですが」
誰よりも、シャオちゃんが好きだった。
誰よりも、近くに居たかった。
『な、なんでそれが付き合うってことに……』
しどろもどろに私が口に出すと、シャオちゃんはまたくしゃりと笑った。私より体温の高いシャオちゃんの手が一際強く私の手を握った。
「そら俺、お前のこと好きやし」
ああ、私はまだ、シャオちゃんに勝てないみたいだ。
『……どっか行くかもしれないのに？』
「そしたらまた見つけたるわ」
『私隠れんぼ強いよ？』
「でもいっつも俺が最初に見つけてたやん？」
『他に可愛い子沢山いるよ？』
「そうなん？今度教えてや」
『ばか』
シャオちゃん、一緒に、青春しよっか。
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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