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「Aが味わえなかった青春を、どうかシャオロンくんが叶えてあげて。私からのお願い」
「……勿論っすよ。色々連れ回しちゃうと思いますけど」
「良いのよ。Aのこと、シャオロンくんになら任せられる」
「あ、りがとうございます」
おばさんは「でも泣かせたら承知しないわよ！」とからかいながら俺の頭をくしゃくしゃと掻き回して、出掛ける準備をもう一度始めた。
Aが丁度戻ってきて席に着こうとしたとき、おばさんはAに耳元で何かを告げたあと逃げるように「じゃあね！またいらっしゃい！」と出ていった。
何かを言われたAはまた固まって俺のことを睨みつけ、俺だけが取り残された気持ちになった。
『……食べよ』
「え、あ、おう。頂きます」
『頂きます』
久しぶりに口にした味に頬が緩む。この家で出されるハンバーグはいつも中にチーズが入っていて特別感があった。
止まらぬ箸で食べ進めていくと、Aが俺の名前を小さく呼んだ。ん？と大きめに切り分けたハンバーグを口に含んだまま返事をすると、Aは俺に目を合わせることなく吃りながら声を出した。
『……あの、さっきの、聞こえてたんだけど』
「……さっきの、って」
『お母さんと話してたこと』
ぴたりと、俺の手が止まる。そらそうだ、そらそうやわ。聞こえるに決まっとうわ。えらい戻って来えへんと思ったけど大人しく聞いてたんかい。
『あれは、その、ど、どういう、意味でしょうか』
「あー……っと、えー……そういう、意味ですね」
『そういう意味とは……』
「やから、そのー……」
あんなけおばさんの前では堂々と言い張ったのに、本人を前にすると急に恥ずかしくなってきてしまった。お互い敬語で反応を窺いながら探る様は随分滑稽や。
ごく、と行く当てなく口内を彷徨っていた肉を飲み込んで、Aの目をじっと見据える。素直になるって、決めたんや。今度こそ失わんように。もしそうなっても、後悔を残さへんように。
「俺とさ、付き合ってみいひん？」
『っ、げほ、』
「ちょ、えぇ……大丈夫か？」
台無しにするかのように麦茶を器官に入れたAが噎せ始める。ティッシュを渡して背中を摩ると、漸く落ち着いたのかしどろもどろに目線を泳がせながら俺にお礼を伝えた。
「──で、どうよ」
『う、その……つ、付き合うって……』
「言葉通りの意味やけど」
『……どうなるか、分からないのに？』
「そんなんどうとでもするわ。
────A、俺と、青春せえへん？」
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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