【d!】いつか、友達だったきみ【sha】

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-シャオロンside-

……昔は、チーズが少しでも入っていれば喚き散らして嫌がっとったのに。間違えて俺の炭酸飲料を口にすれば舌がぴりぴりすると涙目になっとったくせに。何涼しい顔で食ってんねん。

誰よりも仲が良かったが故の謎の独占欲に捕らわれる。「俺が1番Aのことを知ってる！」と自慢げに友達に語っていた過去は継続されなかったらしい。

『そういえば林間学校のレク一緒だね』
「な、偶然。ロボロも居るで」
『ロボロくんとは元々仲良かったの？』
「中学が一緒やってんやんか。そっからずっと連んどるな」
『へー…中学生のシャオちゃんかぁ、見たかったなぁ』

口篭るように小さく吐き出された言葉は、不明瞭なまま店内に摩耗した。一緒に居るのが当たり前で、一緒に成長するもんやとばかり思ってて、中学も高校も変わらず隣で笑い合っているものやと思っていた。

離れるわけがないという俺の自惚れが、溝を空けた。

ファストフード店を出て、近所の公園に向かう。随分と低く感じるブランコに腰掛けると、錆びた鎖が鈍い音を鳴らした。

『……うち、所謂転勤族ってやつでさ』
「……らしいな。お前が引っ越してったあと、オカンから聞いたわ」
『あれから何度も転校したんだよね。小学校も、中学校も』

キィ、と鎖が擦れる高い音が鳴る。小さく踵でブランコを押して揺らすAは、表情を曇らせて俯いた。


『……だから、ここもいつまで居れるか分からない』


きっと、時間制限付きなんだ。
言の葉を紡ぐ度に曇る表情と伏せられていく目蓋。再会した時に濁された言葉と部活に入らない理由は、そういう事やったんか。

「……また、居なくなるん？」
『……お父さんの仕事次第かな』
「そしたら、もう戻って来ぇへんの？」
『どうだろうね。……ここの遊具も、随分小さく感じるなぁ。大きくなったね、私達』

話を遮るように顔を背けて、公園に並ぶ児童向けの遊具に目を向けるA。鎖を握るオーバーサイズのカーディガンから覗いた小さな手が、ほんの少しだけ震えていた。

ブランコを降りてAの前に座り込む。Aはまだ、目を合わせてくれない。A、と小さく呼びかけると、潤んだ目でゆるりと俺の方に顔を向けた。


「なぁ、あの時、ごめんな」
『私も、言えなくて、ごめん』


途切れ途切れに紡がれた不器用な謝罪。立ち上がってAを胸に引き寄せると、おずおずと背中に手が回された。

「……おかえり」
『……ただいま』


──俺も、本当は、

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