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-シャオロンside-
春は出会いと別れの季節だ、と人は言う。
退屈な入学式も終えて割り振られた自分のクラスに向かうと、既に数人同士の塊が出来ていた。出席番号順で決められた自分の席に着いて座る。窓際の後ろ、当たりの席。
窓の外を見ると桜は既に散り始め、決して綺麗とは言えない桃と緑と茶色の入り交じった大木がいくつも並んでいた。
「よ、シャオロン」
「おう、ロボロか。そういえば一緒のクラスやったな」
同じ中学出身のロボロに声をかけられる。知ってる顔を見かけるとどこか安心し、漸く自分の表情に笑みが浮かんだ。
周囲の席のクラスメイトとも挨拶を交わし、何とかこの1年乗り切れそうやな、とHRまでの時間を過ごした。
HRは今日の流れと年間の予定、クラス全員の簡単な自己紹介で終わった。ロボロは緊張しまくっていて声が裏返っとった。後でボロクソにいじったろ、と胸に秘めて校舎の案内をするらしい担任の後ろにぞろぞろと引っ付いて歩く。
案内された所で直ぐには覚えられへん校内を歩くと、他クラスの同学年も案内中なのか長い列を連ねて歩いていた。ちらちらとお互い警戒するようにすれ違う同級生の顔を確認していく。殆ど知らない顔を流し見て行くと、
「…………A……？」
どこか、面影のある少女が通り過ぎて行った。目は合っていない。確信も無い。それでも俺は階段の途中で立ち止まってしまい、後ろに居たロボロに肩を叩かれた。
「何やねん急に立ち止まって。危ないやろ」
「……気のせいか」
再び階段を登って案内をされるも、俺は先程すれ違った少女の姿が頭から離れなかった。
「──では、今日はこれで終わります。明日からは通常通り授業が始まりますので、忘れ物のないように」
適当に礼をして大量の分厚い教科書をロッカーに突っ込み、汚れひとつない鞄を背負ってロボロに声をかける。クラスメイトは初日ながらも数人で出かけるらしいが、正直そんな気分でも無いので廊下を出て昇降口に向かう。
一足制の高校のため下駄箱は無く、だだっ広い空間の昇降口は既に下校する同級生で溢れていた。上級生も今日は授業が無いため、部活の勧誘に勤しんでいた。
家からそう離れていない高校のため、普段から乗り慣れた電車に乗る。途中でロボロと別れ、1人で帰路に着く。
イヤホンから流れる流行りの曲の歌詞と共に、あの少女の顔を思い出す。気のせい、やったんかな。
春は、出会いと別れの季節。
いつかの別れが、新しい出会いに変わる。
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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