新人は施設育ち[男主]

手紙の嬉しさ ページ28

｢……あれ｣
……あ｡そっか俺二度寝したんだ
まゆはもう起きたのか
｢全然気づかなかった……｣
_ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ
｢？｣
『もしもし』
弦『あ｡寝起き？』
『まぁ｡藤士郎くんどうしたの』
弦『寝起きなのはちょっと予想外だった』
『と言うと｡何かあった？なんか会ったなら向かうけど』
弦『そういう事じゃなくて実は今配信中なんだよね』
『……配信中？』
なんかトラブルでも起きたか？
嫌でも藤士郎くんに限ってそれはないか
『トラブルが起きた訳でもない？』
弦『ただの配信｡今VALZで配信してるんだけど電話かけたら出てくれるのかって言うのやってて』
『へぇ｡で僕にと』
弦『そうそう｡だからこれ配信に今乗ってる』
……あ｡そうなんだ
『なるほどね｡にじさんじ所属バーチャルライバー兼ソングライターの風雪A｡晴れ男,晴れ女の皆さん｡弦住民の皆さん｡16KBGの皆さん｡楽しんでる？』
弦『すごい色々と丁寧』
甲『僕らも真似しなきゃ』
『僕まさか電話で企画だと伝えられるとは』
長『ふうしぇ一人称僕だっけ？』
『何それふうしぇって』
長『げんぢゅきみたいな感じの呼び名』
『へぇくせ強いけどいいや』
『一人称の話だっけ？』
甲『僕も気になった』
弦『たまに僕だもんね』
特にこれといった理由じゃないけどな
『施設の子供たちに悪影響かなって｡普通の一人称って言うからいつもは俺だよ｡施設の時の癖的なので僕って出るだけ』
甲『黛さんと似てる』
『あ｡そうなんだ』
『まぁそんな感じかな』
長『リスナーにお兄ちゃんとか呼ばれる理由それじゃん』
『リスナーには話してないけど』
『まぁそんな感じかn』
_ｺﾝｺﾝ
『あ｡じゃあこの辺で』
弦『ありがとー』
『はーい｡頑張ってね』
_ﾋﾟｯ
｢ふぅ……どうしたの？玲乃ちゃん｣
玲｢あのね｡Aお兄ちゃんと灰お兄ちゃんの絵を描いたの！｣
｢ん？上手だね｣
玲｢えへへ！これあげる！｣
｢くれるの？ありがとう｣
｢他の子達と遊んできな｣
玲｢はーい！｣
……元気だな
この絵……
｢……俺とまゆにってことか｣
そこには施設の子達の文字だろうか
感謝の気持ちが書いてあった
玲乃ちゃんは絵を描いて他の子達は字を書いたのか
｢嬉しいもんだな｣
こんなに感謝の籠ったものを貰うのは嬉しい
｢……手紙ってこういうんだ｣
手紙には最後の別れが書いてあるから
苦手だけど本来ならこういうものなんだ
｢……そっか｣
過去のことをまだ引きずってしまうのか俺は

別れのものだけじゃない→←朝

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