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ゆっくりゆっくり歩いて、ようやく取材を始められた。インタビュアーさんには、いま怪我をしていることを伝えて、できるだけ負担のかからないようにしてもらう。


写真撮影も、椅子に座ったままできるようにしてもらった。


「‥‥なんか、ほんとごめんね潤くん。」


全部終わったのは、予定時間よりもだいぶ早くて、ラッキー早く帰れる、って思ってたおれに、ニノが眉を下げてそう言った。
もちろん、早く帰れて嬉しいのは、ニノをゆっくりさせてあげられると思ったからだ。


「‥何が?それ以上謝られたらおれ、やだ。」

「仕事も満足にできなくて‥ごめん、って言うつもりだったけど、潤くんがやだって言うならやめる。」
「いや、言ってるし。」


ふふふ、といつもの顔でニノは笑う。


「‥わかってんの。もし、こうやってつらそうなのが他のメンバーならおれだって勿論潤くんみたいに接する。
でも、やっぱ、‥‥普段通りにできるのが一番だなぁって、思うんですよ。」


当たり前だけどね。って、ごまかすみたいに笑うけど、‥‥ニノ、弱ってんだよ、いましんどいから、仕方ないんだよ。


「‥‥はやくかえろ。」


にのを、はやくゆっくりさせてあげたい。


「みんな待ってるし、心配してるよ。」


ニノは、心配してもらうことを望んでないのは知ってるけど、そんなのお互い様だ。
ニノがいつも俺たちをたくさん気遣ってくれるから、俺たちだってそれを返す、それだけ。


「ほら。」
「え?」
「おんぶ」


前にしゃがんだおれを見て、ポカンとするニノ。


「いやいや、まって潤くん?」
「なに!お姫様抱っこの方がいいって?」
「めっそうもないです、おんぶでお願いします。」



さすがに人の往来のある場所でお姫様抱っこは嫌だったみたいで、恐る恐る背中に乗ってくれた。
これだって、苦のない姿勢ではないだろうけど、歩くのよりはマシだと思うから。


「帰ったら、ガマンした罰で、めいいっぱい甘やかされること!」


そう言ってやると、大きく笑った。その反動で体が揺れて「イテテ」と言うのも聞こえた。


「それって、罰なの?」


可笑しそうなニノの声。


「‥‥罰だよ。今日は、反論は無し。」



のんびり歩くおれの背中に、ぴったりとニノが体をつけて、小さな小さな声で、「‥そんなの、ご褒美に決まってるじゃないの。」と言った。



きっと今のニノの顔は、イチゴみたいに真っ赤なんだろうなぁ。

◆ 1 mとo→←△ 2



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作者名:とことこ | 作成日時:2017年7月28日 14時

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