△ 2 ページ7
「あっ。クッション、挟むよ?」
そう言えば、移動者には腰に挟むためのクッションを置いていることを思い出してそれを持つ。
ニノも少しだけホッとした顔をして「ありがと」と言ってくれた。
「ごめん、ちょっと動かす。」
「ん‥‥」
片手でニノの背中を浮かせて、もう片手でクッションを置く。ちょうど腰のところに当たるように微調整をして、ニノを凭れさせた。
「はぁぁ〜‥‥」
「ちょっとは楽?」
「うん、ありがとね、潤くん。」
「なんもしてないよ。」
それでも、ありがとね。と儚げに微笑む。‥今は痛みで参ってるから、儚く見えるだけなんだけどね、ニノは線が細いし白いから、こうして参っちゃうと一気に儚く見えちゃうから嫌だ。
なんか、こっちもつらくなる。
メンバーが苦しんでる姿ってのは、かなしい。
「‥今日、潤くんといっしょでほっとしたよ。」
「なんで?」
「なんでも。」
ふふふ、とはぐらかすように笑ったニノは、お兄ちゃんみたいな顔をしてた。
いま、甘やかされるのはニノのはずなのに、俺はニノを労ってるつもりなのに。なんか、甘やかされて年下扱いされてるみたいだ。
ニノはそれきり痛みに耐えてるのか目を閉じてゆっくり息をしていて。おれも恥ずかしくなってじいっと黙っていたら、すぐに次の仕事場に着いた。
「‥ニノ、行こ。‥歩ける?」
「‥‥がんばる。」
無理に頑張んなくていいのに、頑張るのがニノらしい。‥で、ここで本当は止めなきゃいけないのかも知んないけど、もう5人で決めてるんだ。『倒れるまでは自己責任』って。
どうしても我慢の上手な5人だから。どうしても我慢してしまう5人だから。どうしても甘えられない5人だから。どれだけ止めたって、止まらない5人だから。
止まらん倒れるのを肯定してる訳じゃない、でも、そこまでは意地を張れ、ってことだ。
もしも倒れたら、もうそこに意地も意思もない。倒れちゃったら後はもう相手の言うことを聞かなくちゃいけないけど。倒れるまでなら、それまでなら意地を張ってもいいよ、支えるから、っていうルール。
だから、がんばると言ったらこっちは支えるんだ。
「無理、しないでね?」
「‥じゅんくん、意地悪言わないで?‥むりは、しなきゃムリ。」
こうやって言ってくれるようになっただけ、成長だなーなんて思うのは、甘いかな?
155人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とことこ | 作成日時:2017年7月28日 14時