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△ 1 nとm ページ6

(m目線)



うちのグループは、我慢の上手なやつが多い。
それは、もう大人だからかもしれないけど、それよりももっと、‥全員が全員、自分に厳しくて周りに気を使う人たちだからって理由の方が大きいんじゃないかな。


「っう」


番組の収録中、ほんのちょっと聞こえた小さな声。言った本人は素知らぬ顔しているけれど、聞き逃すはずもない。
体を動かす場面で、バランスを崩して上半身を左に逸らした。その時にほんの少し捻ったんだろう、ニノはもともと腰を悪くしてるから、ちょっとのきっかけで痛めてしまう。


それを負い目に感じていたりするから、こうして隠そうとする。


‥‥頼ってくれたらいいのに。




残りの4人でアイコンタクト。‥ニノの意志を尊重して、やれるとこまでやらしてみて、無理そうだったら強制的にでも回収。
こうして目を合わせて、頷きあって、それが自然にできるようになったのは長い時間一緒にいたからだ。


てゆうか、このやりとりをニノが気づいてないはずもないけど、反応したら負けとでも言う風になーんの反応もしないのは逆にすごいよ。







収録は無事終わって、次は雑誌の取材だ。
ここからは俺とニノの2人になる。別れる3人とはまたアイコンタクト。無理させないようにね、了解、みたいな感じ。


「ね、じゅんくん。」


3人と別れて、車に乗り込んで。
いつもは助手席に乗るニノが、後部座席のおれの隣に乗ってきたから、珍しいなぁ、って思っていた。
だけど、


「‥ごめん‥‥よっかかっていい?」


それほどつらいってことだよね。



「いいよ。楽にして。」


はあ、とツラそうな息を吐いたニノは、さっきまでけろっとした顔をしてたのが嘘みたいに唇を噛んだ。


「‥つぅ、‥‥ぅぅ、ああもう‥‥」
「捻った?」
「‥‥んー‥、そんなかんじ。」
「‥取材、代わってもらう?」


3人と別れる前に、だれかと代わっとけばよかった、そう思って言ったけど、ニノは「絶対嫌だ」と強く言った。


「‥自分の不注意で、迷惑なんてかけたくない。」


仕方のないことだってあるのに、いつだって自分に厳しい。‥ニノも、みんなも。


「‥‥苦しんでんのが他のメンバーだったら、すぐに代わろうとするくせに。」
「‥ふふ、それはそれですよ。」


気丈に話して入るけれど、車の些細な揺れですらツラそうに顔を顰めている。

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作者名:とことこ | 作成日時:2017年7月28日 14時

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