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☆ 4 ページ29

「‥まー?」

息に合わせて上下する胸。
こうやってそこをそっと撫でてくれるのは、体調崩したおれのそばでいつも松潤がしてくれること。

今日は、反対だね。


「‥ふふ、まーの手、やさしーね。」
「なんもしてないよ?」
「キモチが、つたわってくるよ。」

大きく息を吸って、吐いて、胸が大きく何度か上下して、その後に松潤がまたおれの手を掴んだ。

「まーの手‥冷たくってきもちいい‥‥。」

やっぱり熱があるらしい松潤に手は、おれの手よりもよっぽど熱くて、少しでも冷やせたら、とその手に一本一本指を絡める。

所謂、恋人つなぎに結ばれた手に、やったのは自分だけど照れ笑いが漏れた。
それは、松潤にも同じように移る。



「ふふ‥なぁんだろ、コレ。ロケ車で、2人で‥恋人つなぎ‥ってさ。‥写真撮られたらオシマイだね。」

笑い半分のそれに、おれも思わず笑った。

「なんも問題ないでしょ!だっておれたちナカヨシだもーん。」

そう言い返して、しっかり握った手のひらをギュッギュッと数回握り直す。‥あ、松潤、ちょっと元気なったかも。


「お昼からはさ、せめてベストは脱げるようにお願いしてみよっか。あと、ネクタイも。‥時代はクールビズだもん!ね?」
「‥そだね。」
「あと、ゲストの女優さんみたいなおっきいパラソル、おれらにも用意してもらお?」
「‥あれは、‥‥うん、‥そーだね?」
「あと、かき氷屋さんとか、アイス屋さんとか、見つけたら入ろうね!」
「‥ふふ、‥そーだね。」


おれの言うことに、ちょっと考え込みながらも全部「そーだね」って返してくれて、おれだって全部が全部どうにかなることじゃないってわかってるけど、なんだか嬉しい。
だんだんウトウトしてるのも分かったから、なんてことない話をしながら、恋人繋ぎをした指先で、松潤の手の甲をゆっくりトントンした。

ほんのちょっとしか時間ないけど、でもそれでも、ほんのちょっとでも眠れるなら、眠らせてあげたい。




数分そうしていると、握った手のひらからだんだん力が抜けて、松潤がすっかり寝入ったのが分かった。
するりと抜けた繋いだ手。まだ温もりの残る掌を、今度は1人でぎゅっと握って「よし!」と気合いを入れる。


勝手なことすんなって怒られるかもしんないけど、プロデューサーさんに休憩時間をちょっとだけ伸ばしてもらうために、車を降りた。




その日の仕事は最後まで、なんとか2人でやりきったのでした。



fin

◎ 1 oとn→←☆ 3



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作者名:とことこ | 作成日時:2017年7月28日 14時

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