◎ 1 sとa ページ15
頼らないsさんと頼って欲しいaさんのお話
(a視点)
ねえ、甘えてよ。
いつだってそう思っているのに、翔ちゃんはいつだっておれの前ではカッコイイおにいちゃんのまま。
つらいときは、泣いたっていいよ。しんどいときは、寄っかかっていいよ。
・・・たしかに頼りないかもしれないけど、おれだって大事なメンバーの前でかっこつけたい気持ちは一緒なんだよ。
今日は家に翔ちゃんと二人きり。・・・て言っても、仕事が夕方からだからってだけなんだけど。朝早くから仕事に出て行った3人、そして昼過ぎに起きてきたおれたち二人。
ちょうどおんなじタイミングで翔ちゃんと部屋のドアを開けた。「あ」と重なる声。
そして、おれは見逃さなかった。翔ちゃんが気まずそうに一瞬目をそらしたのを。
そして、分かってしまった。『きっと、調子悪いの隠そうとしてるんだな』って。
・・・いっつも、にのとかみんながおれに言うことの意味をこういうときに身をもって知るんだ。いつも体調悪いときに隠そうとしてるおれも、こんな感じなんだろうなあって。
自分では隠そうとしてるつもりでも、周りにはバレバレ。
こんなの何の自慢にもならないけど、おれもいつもおんなじことしてるから、翔ちゃんの気持ち、よぉく分かるよ。迷惑掛けたくないんだよね?たいしたことじゃないって思ってるんだよね?
でもね、翔ちゃん。
いつも気丈で元気な翔ちゃんが、おれにこんなの気付かせちゃったくらいだから、結構重傷なんじゃない?
調子悪いってのは、なにも体調だけじゃない。失礼だとは思いながらも翔ちゃんをじろじろ観察しても、体調がさして悪そうではなかった。もう長いつきあいだからね、見たら分かっちゃうことが多いの。
体調が悪いんじゃないんなら、もっと大変じゃない?
だって、こころが傷ついてるってことだもん。
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作者名:とことこ | 作成日時:2017年7月28日 14時