197 ページ49
*
『……な、なに。』
あまりにもじっとこちらを見つめるから耐えられなくなったわたしは視線を逸らす。
「ねぇ、なんでいつも突然そんなに可愛いこと言うの?」
『えっ?』
「今、超我慢してんだよ?本当ならこのままキスしたいし、なんなら押し倒したいし、めちゃくちゃ触りたい。」
『……ちょっと。』
「でもやめとく。止められなくなるから。」
ちょっと不服そうにわたしを見上げる彼に思わずふふっと笑みが溢れる。風磨はわたしのこと、表情がコロコロ変わって面白いなんて話すけどそれは彼にも言えること。
いつも余裕そうな顔をしていると思えば、急に妖艶な空気醸し出すし、でも、少年みたいに可愛く笑ったら怒ったり拗ねたり表情豊かで楽しい。
「ここ笑うとこ?」
『だって、風磨がそんな顔するから。』
「待って、今こそ恥じらうとこじゃない?」
『そうなの?』
「Aちゃんのツボ、今だによくわかんないな。」
納得できないって顔で目を細める彼の唇に、わたしはそっと自分のを重ねる。
愛おしいって、こういうときをいうのかな。
なんだか今、とてつもなく風磨に触れたくなって、さっきの恥じらいとか全部忘れてわたしは思いのままに行動に移していた。
『運んでくれてありがとう。もう寂しくなくなった。』
「それはそれで悲しいが…。もう、Aちゃんはいつも想定外。俺のメンタル忙しいんですけど。」
『そう?』
「今ちょっと反応した。」
『……最低。』
「こればっかは許して?俺も一応健全な男だから。」
『……ソウ、デスカ。』
「引かないで(笑)何もしないから、仕事終わったら隣で寝ていい?」
『……ん。』
「ありがとう。じゃあまたあとでね。」
あやすようにわたしの頭にぽんぽんと触れた彼は、「おやすみ」とつぶやく。
なんて優しくてあたたかい目なんだろう。
こんなふうにわたしを見てくれる人は今までいてくれたんだろうか。
どうしたらここまで真っ直ぐ愛を伝えられるの?
何も言わないけど、彼がわたしに向ける表情が、態度が、その愛情の深さを物語っていた。
「Aちゃん?」
『……すき。』
「え?」
『だいすき、風磨。』
頭がふわふわする。
睡魔がどこか心地よくて、いつのまにかそんなことを口にしていた。
意識を手放す直前に、困った顔でわたしの頬を撫でる彼がなんだか可愛くて、そんな風磨もやっぱり好きだなぁって回らない脳内でそんなことを考えた。
1333人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
舞子(プロフ) - yukipomさん» メッセージありがとうございます🥰たくさん読んでくださりとても嬉しいです😭胸キュンしていただけているなら幸いです。これからもどうぞよろしくお願いします💐 (6月25日 21時) (レス) id: 5d40d4d8c1 (このIDを非表示/違反報告)
yukipom(プロフ) - はじめまして。更新楽しみにしてました!🥹だけどいいところで次を待つ!!みたいな状況にいつもドキドキさせられます🩷思わず何回も1から読み返しています💓次回も楽しみにしてます! (6月18日 0時) (レス) @page24 id: cb1029b802 (このIDを非表示/違反報告)
舞子(プロフ) - みやまるさん» ありがとうございます😢ゆるゆる更新ですがお付き合いいただけますと幸いです😭 (2023年3月25日 19時) (レス) id: 2ecde9cc04 (このIDを非表示/違反報告)
みやまる(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2023年3月20日 3時) (レス) id: 73890cbeef (このIDを非表示/違反報告)
舞子(プロフ) - 佳菜さん» ありがとうございます😭今後ともよろしくお願いします! (2023年2月11日 22時) (レス) id: 2ecde9cc04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:舞子 | 作成日時:2023年1月14日 22時