素直になれない私たちは。2 (ページ40)

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『よし、新幹線のチケットもあるし、着替えも入れたし、資料も持ったし。とりあえずオッケーかな。』

すっかり日が暮れた中、わたしはリビングにキャリーケースを広げて、明日の持ち物の最終確認をする。

泊まりなんて、大学の卒業旅行ぶり。
まぁ、あの時とは違って遊びに行くわけじゃなく、完全に仕事なんだけど。

「Aちゃん、ご飯できたけど準備の方はどう？」

『完璧！後はしっかり寝るだけ。』

「寝過ぎて遅刻しないようね(笑)」

『うるさいっ。』

出張の支度を始めてから、何故かつっかかってくる風磨。

わたしの着替えの中に自分のスウェット紛れ込まそうとしたり(本人曰く「ホテルの浴衣は寝にくいから」とのこと。)

「Aちゃん、知らない土地で一人で起きれるの？モーニングコールしようか？」なんて後ろで延々と唱えてきたり。

つっかかる理由を聞いても「別に〜」とはぐらかされるだけ。
まぁ、概ねからかう相手がいないからつまらないってところだろうな。

「明日は何時に出る？」

『中島さんと駅に7時半集合にしているから、7時には出ようかな。』

「ハア？」

キャリーケースにぐーっと体重をかけてチャックを閉めていると、不機嫌そうな声を出す風磨。

「何、イケメンと行くの？」

『あれ、言ってなかったっけ？』

「聞いてた。でも、朝から一緒とは聞いてない。」

『いや、そこどうでもいいでしょ。』

眉間にシワを寄せて、笑っているのに不自然に顔をピクピクさせる。この人、なんで中島さんのことになるとこんなピリピリするんだろう。

この話、したくないなぁ…と思いながらも、わたしはもう一つ彼に話さないといけないことがあったから、重たい口を開いた。