ぼくらのおうち｡5～Mｙ sweet home～/気象ﾊﾟﾛﾃﾞｨ (ページ48)

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47.天網恢恢疎にして漏らさず/A ページ48

乾いた拍手の音を響き渡らせて、於呂さんは喉を鳴らして笑う｡

｢素晴らしい｡
とても楽しませて貰ったよ｡
君が私に聞かせた世迷い言は、実に興味深いものだった｣

｢その世迷い言、当たらずとも遠からず、だったのでは？｣

片眉を指で持ち上げ、余裕綽々の表情で切り返す翔ちゃんに、於呂さんも一歩も引かない｡

｢さっきからの話の流れで、多少事実との相違点がある｡
訂正させて貰おう｡

一つ目｡
須佐は天照様に逆恨みしたのでない｡

恐れ多くも姉上様である天照様、そして兄上様である月読様より、全てを統べる王として自分の方が相応しいと考えていたのだ｡

お二方の抹殺を目論むなど狂気の沙汰｡
それが高天原であやつがしでかしたことだ｡

そしてもう一つ。
私はもう人外の者に非ず｡
この肉体は間違いなく人のもの｡

だから私からお前達は妖気を感じないのだ｡

アマノハバキリで切り刻まれた私の肉体は二度と再生せず、以来大蛇だった頃の記憶と僅かに残った力と共に人として転生を繰り返している｡

我が君から賜った使命を全うする為に…｣

｢使命…？｣

壁に凭れかかり、さっきから黙って翔ちゃんの話を聞いていた大ちゃんが、ぴくりと体を震わせた｡

於呂さんは忌々しそうに大ちゃんを睨み据えると、吐き捨てるように言い放つ｡

｢渡来の物の怪どもは、我が君の崇高さも理解出来ず血肉を欲しがる下賤の者ばかりだ!

なぜ貴様のような珍けな物の怪を守護者としてお選びになられたのが理解できぬ!!｣

｢ちょ、ちょっと待ってよ!?
智君はどんな時もニノの味方だし、どんな状況下でもニノを守ってきた!!
『血肉を欲しがる下賤の者』だなんて、言いがかりもいいとこだよ!!

ね、智君!!｣

｢…………｣←ズキズキ良心が痛んでる

｢そうだよ!!
大ちゃんはいつだってニノちゃんのこと一生懸命なんだから!!
そんな失礼な言い方、取り消してよ!!
大ちゃんも大ちゃんだよ!!

さっきからなんで言われっぱなしでいるの!?｣

｢…………｣←バレそうでヒヤヒヤしてる

｢なら何故、アイツは流れ出た大君の血を舐め取っていたのだ!!
しかも意識を失い、本人が気付かぬうちに血を啜るとは!!
なんたる無礼、なんたる卑怯!!｣

｢大ちゃん…？｣

｢智君…、さっきの話じゃそんなこと、一言も行ってなかったよね？
みんなに内緒でそんなことしてたの？｣

｢てへっ♪｣←開き直った

・

『てへっ♪』じゃないでしょ、『てへっ♪』じゃ｡