40.お酒の後の…/A ページ41
……なんだよ｡
なんだよ、潤君もニノちゃんも…
翔ちゃんと大ちゃんに懐いちゃってさ…
ニノちゃんなんてさっきまでオレとにこにこ仲良しさんだったのに
オモクソオレに背中向けて、大ちゃんにべったりくっついてもう眠っちゃてんじゃん｡
せっかく真ん中ゲットしたのに、これじゃお一人様の雅紀君じゃん｡
なんかオレ、すげぇ寂しいヤツみたい……
｢もういいもん…｣
小さく呟いて、頭からふっかふかの羽毛布団を被ると
｢雅紀、お前寂しいのか？｣
隣の撫で肩がオレに向き直った｡
｢翔ちゃぁん、やっぱオレのことちゃんと見て考えてくれてんのは、翔ちゃんだけだよ〜!｣
｢おー、ヨシヨシ｡
雅紀は酒飲むと途端に涙腺が脆くなるからなぁ…｣
｢だってオレが寂しがってんのまで、ちゃんと解ってくれてるし〜｣
｢まぁお前の場合、心の呟きが全部声に出てんだけどな｣
｢ユエ君じゃないけど!
普段はピンインさん時みたく絶世の美女じゃないけど!
撫で肩スーツの残念ママな翔ちゃんもオレ大好きだよ!?｣
｢いちいち声がデカイんだよ、お前は!
潤とニノが起きちまうだろうが!!｣
｢イテッ!!｣
ぺちんと引っ叩かれた頭を自分で撫でると
｢ねーねー、ピンインとかユエ君とか｡
なんのことよ？｣
すやすや夢の国の住人になったニノちゃんの隣で、大ちゃんがオレ達にひらひらと手を振った｡
｢あれ？
付き合い長いのに大ちゃんってば知らないの？
漢服に身を包んだ絶世の美女ピンインさん｡
翔ちゃんが中国王朝に紛れ込んでた時の仮の姿だよ｣
ニノちゃんの前髪を愛おしそうに撫でつけた後、
布団を後にした大ちゃんがオレと翔ちゃんの枕元にすとんと腰を下ろす｡
｢あー、俺それ知らない｡
平安京随一の美女と名高い『桜の君』は知ってたけどな｣
｢えっ？
えぇぇ!?
大ちゃんと出逢った時って、翔ちゃん女の子してたの!?
見たかったなぁ〜
十二単の桜の君かぁ〜｣
｢おれ美人だからな｡
何着ても似合っちゃうんだよ｣←自分で言う
｢でっかい口開けて大欠伸してダレてんだもん｡
千年の恋もあの姿見たら興醒めだよ｡
俺は男の翔君の方が、断然艶っぽくて綺麗だと思うんだけど｣
｢智君……｣
……なんでそこで二人して見つめ合うかね｡
ってか、
翔ちゃんなんておっきなお目目がうるうるだよ？
アンタ達、ひょっとしてひょっとすると
大昔になんかあったんじゃない？
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作者名：あさり
作成日時：2014年12月14日 20時
