04.憧れの家族旅行/O ページ5
｢あ…、あの…
相葉さんが返すって決めたんならいいんだ｡
だって当てたの相葉さんだし、オレがとやかく言うのはオカシイし……｣
｢ニノちゃん、大丈夫だよ｡
オレまだなんにも決めてないもん｡
オレもニノちゃんの意見聞きたいから教えて？｣
座り直した相葉ちゃんの声が優しく鼓膜を揺らす｡
こういう時の相葉ちゃんの声は
周りの空気を和ませて、相手が背負ってる気負いまで落しちゃうから不思議だ｡
小さく頷いたニノが遠慮がちに口を開いた｡
｢オレ…、両親と小さい時に死に別れただろ？
そりゃ死んだじいちゃんはオレのこと可愛がってくれたし、いろんなとこも連れてってくれたけど……｡
オレ、//オレ、さ……｡
実は家族旅行って憧れてて……｣
｢家族旅行？｣
｢うん……｣
翔君も柔らかな声でニノにその先を促す｡
照れ臭そうに頬を赤く染めて｡
躊躇いがちに何度も息を飲んで｡
でも言葉を待つ俺達にニノは懸命に思いを伝える｡
｢夏休みとか終わると、友達みんな家族でどっか行ってて…
いつもそれが堪んなく羨ましくてさ…
みんなで冬休みに温泉行けたら、凄く楽しそうだなぁ…ってつい思っちゃって…
あ、でも!
そんなのオレの我儘だし!
ホント、無理しなくて｣
｢……行こっか、温泉｣
｢智…？｣
｢俺も行きたい、みんなで旅行｡
いいでしょ？｣
潤君も嬉しそうに微笑んで、カップに指を滑らせた｡
｢俺もずっと翔さんと二人きりだったから、みんなで思い出作ってみたいな｣
｢おれは潤が行きたいなら賛成だ｡
な、雅紀？｣
｢そうと決まれば…｣
顔の前で両手を合わせると、相葉ちゃんはみんなの顔を見廻した｡
｢会長さんにはお土産に温泉饅頭買ってくるとして!
三泊四日温泉旅行!
みんなで楽しんじゃいましょう!｣
｢いやったぁ…!
智も相葉さんも翔さんも潤君も!
みんな…、ありがとう!!｣
・
｢ニノ、お願い…、も…、許して…｣←涙目
｢ヤダよ｡
潤君てば反応可愛いんだもん｡
もっとむぎゅむぎゅしちゃおっかなぁ〜｣
｢ダメ…、あっ、ヤダァ!!｣
うん｡
はしゃぐニノ見てるのは確かに嬉しいんだけど｡
｢二人ともいい加減にしろ!!
さっきからギャーギャーうるさいぞ!!
智君も注意しなきゃダメだろ!!!
子供の躾は保護者の責任だよ!?｣
｢…俺も？｣
｢当然同罪!!｣
翔君に怒られちゃうから、ほどほどにね｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年12月14日 20時
