32.その頃の御姫様/N ページ33
於呂さんが部屋を出て行ってからの智は
何が気に入らないのかふくれっ面で
面倒になって翔さんに押し付けちゃったけど｡
さっきまで吠えてた智も今はやけに静かで
翔さんも難しい顔してヒソヒソ喋ってる｡
いやいやいや｡
なに？
なんなの？
智の雲行きが怪しくなったこと
そこまで真剣に考えてなかったけど
そんな深刻なハナシだったワケ？
ちらちら智達の様子を伺うオレに
ほろ酔い気分の相葉さんが擦り寄ってきた｡
｢なに〜、ニノちゃんってばぁ〜
真面目な顔しちゃってどうしたのよ？｣
右手には熱燗、左手にはお猪口｡
アーモンド色の瞳はとろんと蕩けていて、顔はお猿のお尻より真っ赤っか｡
……ダメだ｡
コイツ、ばっちし仕上がってる｡
｢……なんでもない｣
｢嘘ついちゃってまぁこの子ってば!
素直じゃないわねぇ〜
大ちゃんが気になってるってハッキリ言えばいいじゃない!｣
キャラ変わってるし｡
顔近過ぎるし｡
酔ってるせいか、アップで来られるとマジ怖い｡
腕絡めてぴったりくっついて｡
なんかやけに懐いてきたから
思いっきり引っぺがして、そのままお尻でずりずりと後ずさりした｡
｢も〜、ニノちゃんってばツンデレラなんだから〜
でもそこが可愛いんだよねぇ♪
ニノちゃん、あのね？
オレも大ちゃんに負けないくらいニノちゃんのこと大切だから｡
だからもっとオレのことも頼ってくれていいんだからね？
オレ、鞍馬山の山奥からにのみや荘に来て、みんなと出逢えて毎日が楽しくて…
ホント…怖いくらい幸せで…
みんなに、感謝しか…なくって…｣
今度は見る間に綺麗な瞳が涙の粒で潤み始める｡
なんだよこの展開｡
マジですか｡
オネェ語の次は泣き上戸ですか｡
｢ニノちゃん…、オレ…、オレ…｣
｢あ…、相葉さん…？｣←怖々
｢大好きだーーー!!!｣
｢く、苦しっ…!
だ、抱きつかないで!!
みんな大好きなんだよね!?
分かった、分かったからっ!!
とにかく離してよ!!｣
隣の潤君は素知らぬ顔で、時たまオレと相葉さん見て笑ってる｡
クソ｡
酒飲むとこの人随分面倒なんじゃん｡
こんなことなら不機嫌な智を引き受けて
翔さんに相葉さんをさっつけてやればよかった｡
｢いい加減離せや!
アンタ力加減馬鹿だろ!?
窒息するわ!!｣
｢みんなが大好きなんだよーー!!!｣←聞いてない
相葉さん｡
アンタ鬱陶し過ぎる｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年12月14日 20時
