21.そんなこと言われると…/O ページ22
……どれくらい、そうしてたのか｡
腕の中で意識を飛ばしていたニノがぴくりと体を震わせて目を覚ました｡
｢あれ…、智…？
オレ…、寝てたの？｣
ぐしぐしと目を擦りながら、体を起こしたニノの瞳にいつもの光が戻っていく｡
｢ニノ…、さっきまでのこと…、憶えてない？｣
｢さっき…？」
何かを思い出したように腕を擦ったニノが、オレを瞳に映した｡
｢そうだ…
オレ、急に腕が焼けるみたいに痛くなって…
お前が
｢……ん｣
安心しきったような柔らかい笑みを俺に向けて
ニノが照れ臭そうに頭を下げた。
｢ありがと｡
さっきのことだけじゃなくて、アンタにはいつも助けて貰ってる｡
こんなこと普段は照れ臭くて言えないけど……
有難うございます｡
アナタには出逢ってから全てのこと、感謝してます……｣
｢い、いや……
そんな……｣
そんなふうに言われたら、こっちまで照れるじゃん｡
それになんの疑いもなく
可愛らしくニッコリ笑われたら
俺のこと信じ切ってるニノの血を
気ィ失ってる間に美味しく頂いちゃったこと
じくじく胸が痛んでくるじゃん｡←罪悪感
……怒るだろうな｡
ホントのこと知ったら
オモクソ張り倒された揚句
暫く口利いてくんねぇだろうな｡
｢俺は当然のことしてるだけだから｣←超棒読み
黙っとこう｡
誰も見てなかったし｡
俺が黙っとけば
永遠にニノにバレなくて済む｡←ブラック
それにしても
ニノは自分の腕に吸いついたヒルが、視えてなかったみたいだ｡
｢智…？｣
｢……なんでもない｣
さっき｡
別人みたいになってた時のことも、憶えてないみたいだし｡
｢なぁ…、智｡
頼みがあるんだけど｣
｢なに？｣
｢オレ、喉乾いちゃった｡
飲み損ねたコーヒー牛乳、飲みたいんだけど……｣
｢いいよ、買ってきてあげる｣
｢ホント？｣
｢うん｡
ニノ、二度も意識失ったんだし｡
もうなんともないと思うけど｡
部屋で大人しく待ってて｣
｢んふふ、ありがと｣
ま、いっか｡
考えても分かんないことを、今どんなに頭使っても仕方ないしな｡
｢一本だけでいいの？
なんなら売店でもっと買ってくるよ？｣
｢……？
なんかお前やけにサービスいいな？｣
｢そ、そんなことないよ!｣
血ィ頂いたし｡
俺を信じるニノへの罪滅ぼしに、おつかいでもしてくるか｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年12月14日 20時
