17.八咫烏の羽根1/N ページ18
痛い
痛い
腕が、焼け爛れたみたいに痛い
助けて
助けて
｢はっ…、あっ、あっ、あっ!!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!｣
｢ニノってばしっかりして!!｣
言葉にしようとしても上手く呼吸すら出来ず
ただ、叫ぶ事しか出来ない｡
｢ニノ、腕見せて!!!｣
そう｡
お前がまじまじ見つめるソコが、焼けるように痛むんだよ｡
｢…なん…だ、コレ！｣
オレの手をひっぺがした智がなんか言ってる｡
｢コイツ…!
ニノから離れろ!!｣
……？
なに、言ってんだ…？
傷みを堪えてちらっと腕を見ても
なんともなってないのに……
智は懸命に何かをオレの腕から振り払おうとしてる｡
あまりの激痛の所為で次第に遠のく意識｡
痛みが熱に変わって、体じゅうに広がっていく｡
……ふわりと優しく何かが肌に触れる｡
俺の体を労わるように舞い落ちてくるのは、真っ黒な鳥の羽毛……
智が操る
ぼんやりとした視界に智の繊細な手が、
漆黒の羽根を握りしめているのが見える｡
｢はっ、あっ…、あ…あぁ……｣
智
智
痛くて
痛くて
息も出来ない
お願い
助けて…
助けて!!
声にならない声をまるで理解したかのように
温かいかいなに抱き寄せられた刹那
｢今、助けるから｣
智の低音が、耳元で放たれた｡
ずる…、と、ゆっくり｡
鋭いものが腕に突き立てられ、
皮膚を貫き筋肉にまで侵入してくるのが分かる｡
でも、不思議なんだ……
何度同じように
智が
その行為自体に全然痛みはなくて
じわりと腕の中に心地よい温もりが広がり
その代わりに焼け爛れるような鋭い痛みが
嘘みたいに消え失せていく｡
さっきまで呼吸すらままならなかったのに｡
痛みから解放された体は
酸欠で力の入らない全身に空気を取り込もうと
思いっきり息を吸い込んで深い呼吸を繰り返す｡
｢さ、とし……｣
カラカラに乾いた喉を振りしぼって名前を呼べば
｢ニノ……｣
オレの背を抱く腕に智が力を込める｡
｢もう大丈夫｡
痛いの治っただろ？｣
うん…、もう平気………
返事をしようとしたのに｡
もう意識を保つ事が出来なくて｡
｢ニノ…、ニノ…!｣
不安げにオレを見つめる鳶色を見たのが最後に
オレは意識を手放した｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年12月14日 20時
