20.例えばこんな一日/S ページ48
｢へっ？リザーブ？｣
｢そう、リザーブ!
お前さっきなんであんなこと言ったんだよ!｣
用意した食材を見事完売した後
メインイベントの準備の為に片づけをしながら
雅紀の肩を小突いて問いかけた｡
暫くワケが分かんないって顔してた雅紀が、『あぁ…』と吐息を漏らした｡
｢『翔ちゃんの隣はオレがリザーブした』ってヤツ？｣
｢そうそれだよ!!｣
｢……翔ちゃん、
｢えっ？｣
生ごみをゴミ袋に詰めて、口を縛った雅紀がおれを見て苦笑する｡
｢翔ちゃんは甘すぎるって言ってんの!
ユエ君なんて簡単に捻り潰せるクセに｡
傷つけることが嫌で、あの子のいいなりになろうとしたでしょ？
でも翔ちゃんがいなくなった後の、潤君の気持ち、考えなかったの？
まだまだあの子は、翔ちゃんの支えが必要な子だよ？｣
｢それは……｣
｢言い訳は聞かないよ｡
ユエ君と少しだけいたら、頃合い見計らって逃げ出すつもりだったんだろうけど｡
そしたらユエ君は更に傷つく｣
｢………｣
｢最後の『娶るならおれより強くなれ』だっけ？
あれだってそうだよ｡
あんな言い方じゃ、ユエ君は翔ちゃんを諦めきれない｡
ユエ君は翔ちゃんに真剣だったんだもん｡
その時は辛いかもだけど、
気持ちに応える気がないなら、ちゃんとふってあげなきゃ｡
ユエ君だって次の恋に踏み出せない｣
｢……うん｣
言われれば言われるほど、全部雅紀の言う通りだ｡
どっち付かずの答えは、返って相手を傷つけることだってあるのに……
｢翔ちゃーん｣
俯いたおれの顔覗き込んで
｢そんな暗い顔しないでよぉ〜
なんかおれ、意地悪したみたいじゃん｣
雅紀がおれの鼻をきゅっと摘まんだ｡
｢い、いや、
そんなふうに思ってないよ｡
今日の事はお前のおかげで上手くいったんだ｡
礼を言うよ｡
今日は助かった｡
雅紀、ありがとな｣
頭を下げたおれに、雅紀は『くふふ』と笑う｡
｢翔ちゃんってば素直で可愛い♪
……やっぱおれ、翔ちゃんの隣リザーブしとこっかな？｣
｢へっ？えぇっ!?｣
｢なーんてねっ
翔ちゃんすぐ騙されるんだもん｡
やっぱ
｢雅紀テメェ！
歳上をからかうな!!｣
舌出した雅紀の肩小突きながら
こんな一日もたまにはいっかなんて｡
おれも一緒に声上げて笑った｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年10月30日 1時
