ぼくらのおうち｡4～Mｙ sweet home～/気象ﾊﾟﾛﾃﾞｨ (ページ35)

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07.エキマチ商店街オータムフェスティバルページ35

｢翔ちゃんを迎えに行く為に抜けた俺の代わりに、潤君がケバブ焼いて、大ちゃんがドンドゥルマっていうトルコの伸びるアイスを実演販売してて、ニノちゃんがレジしてくれてる｡

それがさ｡
予想以上にすっごいお客さんが来ちゃってさ｡
女の子がいっぱい行列作ってて｡

とにかく凄い人なんだ｡

特に潤君は、お肉焼きながらメインの調理してるでしょ？
ホントはそこ、ニノちゃんと二人でやって貰うことになってたのに｡

今頃、てんてこ舞いだよ｣

｢おれ何すればいいの？｣

｢レジ打ち｡
翔ちゃんの武器はその綺麗な顔と頭脳だもん｡
ニッコリ笑ってレジ打って『有難うございました』って言ってくれればいいよ｡

大丈夫!
誰も翔ちゃんに料理のスキルは求めてないから｣

｢………どういう意味だよ｣

うひゃうひゃ声上げて笑った雅紀の車が

街の中心、駅を中心にして広がる繁華街に入っていく｡

普段は駅の地下に広がる商店街｡

この日だけは駅の建屋前に広がるイベント広場に

各商店が各々、趣向を凝らした屋台を出店する｡

この『エキマチ商店街オータムフェスティバル』は

最後に商店街全体で用意したメインイベント

豪華賞品付福引きも相まって、毎年なかなか好評を得ている｡

雅紀の花屋が今年出店したのがケバブ屋さん｡

トルコ伝統の伸びるアイスや、ケバブで使ったオリジナル料理を振るまう事になっていた｡

｢ねぇ、そういや今年の福引商品ってなに？｣

｢今年の特賞は豪華食事付、3泊4日温泉旅行!!
大家族様のことも考えて、なんと10名様まで無料御招待!!!
他にも4kテレビとか、ブルーレイとか!
なかなかの豪華賞品が目白押しだよ？｣

｢おぉー!!
そりゃスゲェ!!

でも温泉かぁ……
みんなで行ったら楽しいだろうなぁ……｣

｢そりゃオレもそうだと思うけどね｡
オレ達はあくまでも主催者側｡
来てくれたお客さん用の豪華景品なわけだし｡

……さぁ、着いたよ｡
あっちの方、一番お客さんが列作ってんのがオレ達の店｣

｢……と、あの店か？
スゲェ人だな……
なんだよ、あの行列｣

｢とにかく急ごう？｣

｢あぁ…!｣

車を駐車場に止めると、速足で歩く雅紀の背中を追いかけるようにして

人ごみをすり抜けた｡