ぼくらのおうち｡4～Mｙ sweet home～/気象ﾊﾟﾛﾃﾞｨ (ページ30)

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02.長屋のトップアイドル/S ページ30

お美代さんが潤の瞳を覗きこみながら、ニッコリと微笑んだ｡

｢潤ちゃん｡
潤ちゃんはこの長屋で誰が一番好き？
由美お姉さん？
それとも美代お姉さん？｣

｢ん～、ん～｣

二人の顔を交互に見比べ

暫く考えてた潤が、井戸で水汲みしてたおれを真っ黒い瞳に映すと

にゃぱっとあどけなく笑った｡

｢しょーたん、
しょーたんちゅき｣

｢//きゃあ～～!
潤ちゃんかわいい～～!!

でもでも！
お姉さん達のことも好きでしょ？｣

｢あい!｣←にゃぱ

お由美さんが壊れ物でも扱うが如く

それはそれは愛おしそうに

柔らかで細い髪を掻きあげ

ご機嫌な潤の頭を撫でると、優しく語りかける｡

｢でもやっぱり潤ちゃんは、翔ちゃんが一番なんだよねぇ…｣

｢しょーたんちゅき!｣

｢んふふ…、ホント愛らしい子だこと｡
どれだけ大切にされてるか、この笑顔からも伝わってくるよ｡

親と死に別れてのたれ死んじまう子供だっているのに｡

潤ちゃん……
アンタ、翔ちゃんみたいな人に育てて貰えて幸せな子ねぇ……｣

｢あい！｣←にゃぱ

………にゃぱって｡

潤のヤツ｡

可愛過ぎるだろ｡

『ちゅき』なんて満面の笑みで言われたら

訳もなく目頭が熱くなるじゃないか｡

｢あーあ、また翔ちゃん泣いちゃってるじゃないか～｣

｢この長屋の名物だねぇ｡
息子に溺愛し過ぎて、好きって言われただけで泣く父親(笑)｣

｢うっさいわ!｣

潤のおかげですっかりこの長屋の住人達とも馴染み

人間の助け合いっつう精神も悪くねぇなんて

物の怪らしからぬ考えを持ち始めたあの頃｡

｢しょーたん、だっこ、だっこぉ～｣

地べた座り込んで、脚バタバタさせて｡

｢潤、ホラ抱っこ｣

｢しょーたん、ぎゅう～｣

両腕伸ばして甘える潤を抱き寄せて

｢さぁ、今日もいい一日にしような!｣

｢あい！｣

山の端から顔出したお天道さんを、毎日潤と眺めるのが日課だった｡