04.悪い虫/N ページ5
｢え〜、いいじゃーん｡
減るもんじゃなし｡
ニノはすっごく可愛いから、悪い虫が寄って来ないようにおまじない｡
ちゃんと唾つけとかなきゃ危なっかしくって｡｣
｢ワケわかんないコト言ってんじゃねぇよ！
第一、男に可愛いなんて言われても嬉しくないわ!!｣
何が『悪い虫』だよ｡
見た眼年齢、高校生のオレと変わんない癖に｡
｢それより寝ぐせ!
仕事系の人ってどこかの偉いおじさんなんでしょ？
寝ぐせぐらい直してけって!｣
｢え〜、めんどくさいよ〜｣
｢ダメだって、ホラ!
ったく、大人のクセに手がかかるなぁ…｣
｢んふふ、ニノって口は悪いけど優しいから大好き｡｣
ふわふわお気楽に笑ってる智の寝ぐせを、ぬらしたタオルで抑えてやる｡
｢これでココ抑えてろよ｡｣
｢うん｣
智はオレに言われたように、タオルで寝ぐせ直しながらいつもの席についたけれど……｡
それにしても智って年取んないよなぁ……｡
オレ、コイツの年齢なんて知らないないけど
じいちゃんの古くからの友人って、この見た目でそう言われてもなんかしっくりこないしさ。
いい大人が智を『先生』だなんて呼んでるのも、エライ違和感があるんだよね｡
だって宮絵師なんてあんまり聞き慣れない職業で
先生なんて言われてるってことは、それなりの経験と実績があるってことでしょ？
どっかに弟子入りしたのか分かんないけど、そんなふうになるまでに
それなりに時間がかかっただろうし……｡
智ってば、あの見た目と頼りなさから想像できないけど
本当は結構なオッサンなのかな…？
｢……？ニノ？
どうかした？
俺の顔になんかついてる？｣
｢あ…、ううん、なんでもない｡
……それよりコレ｡
これくらいなら朝でも食えるだろ？｣
｢わぁ、ポトフ？
美味しそう〜、ってことは夜はカレー？｣
｢そ、リメイク料理｡
家で食べるんだろ？｣
｢うん！
おじさん達の難しい話聞きながら食べる料理より、ニノが作ってくれたカレーの方がいいもん｡
んふふ、カレー大好き｡
早く夜にならないかなぁ〜｣
…………まぁ｡
カレーひとつで朝からあんだけ嬉しそうに笑う単純さんが
そこそこオジサンってこともないのかな？？
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作者名：あさり
作成日時：2014年6月17日 23時
